暁 〜小説投稿サイト〜
俺達のロカビリーナイト
第三章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初
んですね」
「ああ」
 俺は頷いた。
「悪いけれどね。それじゃ」
 煙草を消して金を置いた。
「機会があればまた来るから」
「はい」
 俺は店を後にした。そしてそのまままたあの橋の下を通った。
 見ればあの時の落書きがまだ残っていた。右手にはさっき見た落書きが。そして左手にはあいつが死んだ時に書いたやつだ。赤いスプレーで殴り書きしてある。
「あの時は何もなかったけれどいいものを一杯持っていたな」
 俺はまた呟いた。そして呟いた時にまた気付いた。
「今も持っているのかもな」
 そう思うと気が少し軽くなった。
 あの時と同じ気持ちになってきた。夢があったあの頃に。
「行くか」
 ここを去った時とは全然違う気持ちになっていた。当然戻って来た時より。何か全く別の気持ちになっていた。
 俺は街を後にした。心をあの頃と同じにして。振り向いたらあの時があった。何もないけれどいいものが山程あったあの時に。


俺達のロカビリーナイト   完


                          2006・1・12

[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ