第百五十話 明智と松永その六
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その中の一人羽柴はというと、今弟の秀長と明智に言われていた。今では彼も明智と親しく付き合う様すになっていた。
その明智がだ、こう言うのだ。
「羽柴殿もです」
「松永殿と共にいることはですか」
「お止め下さい」
こう言うのである、咎める顔で。
「さもないとです」
「寝首をかかれると」
「あの御仁は危険です」
蠍の呼び名通りだ、そうだというのだ。。
「ですから」
「ううむ、権六殿や又左殿にも言われ」
「それがしも同じ考えです」
秀長もここで言う、今彼等も飯を食っている。先程は柴田達と共に食っていたが間食でそれをしているのである。
その中でだ、秀長が言うのだ。
「松永殿だけは」
「御主もそう言うがのう」
「しかしです」
秀長も兄に咎める顔で告げる。
「あの御仁だけは」
「わしはそうは思わぬが」
「そう思った方は多いですぞ」
「それで、じゃな」
「三好殿も義輝様も」
その彼等がだというのだ。
「家を食い破られ弑逆されたではないですか」
「だからというがのう、いつも」
「まさにそれが何よりの証です」
松永が如何に信じられぬかということのだというのだ。
「あの御仁だけはなりませぬ」
「既に私のところでは話を告げております」
明智は再び羽柴に告げた。
「あの御仁が何かをすれば」
「その時はですか」
「はい、斬る様に打ち合わせております」
「それでは権六殿達と」
「ですから権六殿が正しいのです」
そして織田家の他の者達もだというのだ。
「あの御仁だけは」
「しかし」
「しかしですか」
「そうです、全くです」
こう話してだ、そしてだった。
二人でだ、あらためて羽柴に言うのだ。
「とてもです、あの御仁だけは」
「なりませぬぞ」
「ううむ、そうですか」
あらたまった顔でだ、また言う羽柴だった。今の言葉は秀長よりも明智に重点を置いての返事であった。
それでだ、また言うのだった。
「それは」
「ましてや茶なぞ」
秀長はこのことも言った。
「二人で茶室にいますから」
「それはなりませぬ」
厳しい顔でだ、明智は再び話した。
「絶対に」
「その時に暗殺されると」
「あの御仁はそうしてどれだけの者を消してきたか」
実はこのことについて確かな証拠はない、明智jは聞いただけだ。しかし彼は松永のこれまでの動きを見てそれは間違いないとして言うのだ。
「そのことはです」
「疑い様のないことだと」
「羽柴殿、出来ればです」
「それがしもいます」
秀長、彼もだというのだ。
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