第二章
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だな」
俺はそれに乗ることにした。
「じゃあ入れてくれよ。そのドラムでな」
「わかった。それじゃあ決まりだな」
「ああ。じゃあすぐに行くか」
「おい、もうかよ」
あいつはあの時俺のその言葉を聞いて苦笑いを浮かべた。
「気が早えなあ、おい」
「何かすぐにやりたくてな」
「わかった、じゃあ行くか」
あいつは頷いた。これで全ては決まった。
それから俺達はこいつと一緒になった。学校は違ってもいる場所は同じになった。俺達はバンドを組みそこで同じ時間を過ごすようになった。
バンドに金をつぎ込むようにもなった。しがない不良で金もそんなになかったがそれでもよかった。バンドをやってりゃそれで満足だった。何時かチャンスを掴もうとさえ思っていた。
「あのバンドは凄かったな」
「ああ」
俺達は最近まで街で誰もが知っていたあのバンドについてもよく話した。
「あれ位にならねえとな」
「なれっかな、俺達に」
俺はドラムを軽く叩きながら呟いた。
「あんなドラム他にいねえぜ。お笑いもできっしよ」
「ヴォーカルもな。ありゃ凄げえぜ」
「けどなりてえな」
「ああ。そして何時かは」
「俺達も東京へか」
「そうだ。絶対に行くぜ」
「皆一緒にな」
「勿論だ。その為に俺達はバンドをやってるんだからな」
あいつは皆で東京に行くつもりだった。高校を卒業しても働きながらやっていた。働きながらだったが辛くなかった。それも全部あいつがいたからだ。俺達はきついのを笑い飛ばしながらやっていた。あの時までは。
「おい、それマジか」
俺はその話を親から聞いた。お袋が電話があったって伝えてくれた。丁度仕事から帰ってすぐだった。またすぐに作曲かドラムの練習でもしようかと考えていた矢先だった。
「本当のことらしいよ」
お袋の言葉の調子からそれを信じずにはいられなかった。けれど俺はそんなことは信じたくはなかった。その時は絶対に信じたくはなかった。
「嘘だ、嘘に決まってらあ」
「けれど本当のことなんだよ」
お袋のせめてもの心遣いだったんだろう。慰めるように言ってくれた。
「だから、ね」
「・・・・・・今何処にいるんだよ、あいつ」
俺は俯きながらお袋に尋ねた。
「えっ」
「電話で教えてくれたんだろう?」
「そうだけれど」
「教えてくれ。あいつは何処なんだ」
俺はお袋に尋ねた。
「何処にいるんだよ、教えてくれよ」
「いいんだね」
お袋は俺を見ながらこう言った。
「言っても。何見てもいいんだね」
「構わねえよ」
俺もここまで言ったら意地があった。こう返してやった。
「だから聞いてるんだろ」
「わかったよ」
お袋はこれで俺の覚悟を見たみたいだった。一呼吸置いてから言った。
「街の病院さ」
「この街のか」
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