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八条学園怪異譚
第五十二話 商業科の屋上その十一
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「その醜悪さはな」
「戦前は違ったんですね」
「そうした人は」
「いるにはいたがあそこまで多く、しかも卑しくはなかった」 
 戦後日本のモラルの低下はあまりにも酷いというのだ、とりわけ知識人の腐敗たるや特筆すべきものがある。 
 だからだ、こう言うのだった。
「嘆かわしいことだ」
「ですね、本当に」
「卑しい人間にはなりたくないです」
 二人も日下部の言葉に頷く、入学の時にお互いを妬み堕ちようとしていいたことも反省しながら。そうした話をしてだった。
 三人は屋上に着いた、日下部が屋上への扉を開くと。
 目の前に屋上、夜の世界の中のそれがあった。上も左右も夜空でありコンクリートの白は幾分夜の色に染まっている。
 その屋上の中央にだ、夜とは正反対の白いドレスを着た黒髪の少女がいた。
 その少女を見てだ、愛実は彼女に声をかけた。
「あの」
「こんばんは」
「はい、こんばんは」 
「こんばんは」
 愛実に続いて聖花も挨拶をした、ややイタリア訛りのある日本語の挨拶に返したのだ。
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