暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode21:Project of color
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「深雪!」

「はい!」

達也に返事を返した深雪の指がCADを軽やかに走る。魔法式が展開され、発射された圧縮空気弾が敵の一人を撃ち抜いた。
直後、達也が自身の拳銃型CADの引き金を引いた。狙いは深雪に襲いかかろうとしていた三人の男。脳を細胞レベルから分解させられた男達は、同時に眉間から血を噴出させて倒れた。

「お兄様、ありがとうございます」

「いや、問題ないよ。さて殲滅は完了したことだし、速く隼人のところへ行こう」

律儀に感謝を述べる妹の頭を撫でながら、達也は上の階へ続く階段へと向かおうとした。
そのとき、突如として上の階から爆発音が鳴り響いた。

「お兄様!?」

「ああ、急ごう」

上の階には隼人と、そして囚われたほのかと雫がいる。最悪な事態を想像した二人は、それを防ぐべく急いだ。















殲滅されたかに見えた敵の反撃は一瞬の内に行われた。
達也と深雪を人質が囚われているであろう部屋の扉の前で待つ隼人は、硬化魔法で身動きを封じられたことに素早く気づいた。だが、先ほど同様、それを解除している暇は隼人にはなく、突如開いた扉の奥から銃弾の雨が隼人へ襲いかかった。それだけではない。複数の手榴弾も混ざっており、相当な火力、殺傷性があった。正に息もつかせぬ間の制圧攻撃。それは普通の魔法師では防ぎようのない攻撃だった。
だが、それでも隼人には無力だった。一斉に放たれた銃弾や手榴弾、それら全てが隼人に届く前に、通常の数倍に加重された重力によって地面に叩き落とされた。
部屋の奥で銃を構えていた敵に動揺が走った。その隙を隼人は見逃さず、手を振る動作だけで硬化魔法を解除すると未だ機能停止している敵の陣形の中心に突っ込んだ。
陣形を崩されたらもう、十字の道化師(クロスズ・ピエロ)の組員たちは隼人に抵抗することはできなかった。流れるような体捌きにワイヤーアクション、そして魔法。数十人もいた組員は、たった一分で全滅させられた。




















「お兄様、気になってはいたのですが、九十九家とは何者なんでしょうか?」

二階へと続く階段を上っている最中、達也の後ろを走る深雪がおずおずと聞いてきた。恐らく隼人のことを心配しているのだろう。彼は新入生ナンバーツーの成績で魔法科高校に入学したとはいえ、その結果は学校が定めたルールの上での実力であり、こういった実戦の結果ではない。
お膳立てされた実技の成績がよくても、実戦では使い物にならない魔法師は多くいる。
逆に達也のように学校での結果が悪くても、実戦となればそこらの兵士よりも活躍する魔法師も存在している。
深雪は、隼人がどちら側なのかはかりかねているのだろう。
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