暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode21:Project of color
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階へ続く階段まで来ると隼人は雫をそこに寝かした。彼女を抱えながら撤退するのは困難だった。
佐奈の操る黒い波が隼人を飲み込もうと迫る。だが、それは右手の一振りで空間の裂け目に消えていった。
消失(デリート)で黒い波、砂鉄を消し去った隼人は雷帝(ライズ・カイザー)を発動した。
筋力強化の恩恵を受けた隼人は、一気に佐奈との距離を縮めた。隼人のスピードに追いついていない彼女に向かって左拳を突き出す。だが、雷を纏う隼人の拳は砂鉄の壁によって防がれた。
ならばと佐奈の背後に回り込んで蹴りを放つも、素早く移動してきた砂鉄がそれを完全に防いでしまう。
前後左右、どこから攻撃しても砂鉄の壁に防がれる。その間、佐奈は一歩たりとも動いていない。
埒が明かないと判断した隼人は一旦攻撃をやめて佐奈と距離をとった。

(さっきの魔法式無しの魔法といい、この砂鉄操作といい…まるで自分と戦ってるみたいだな)

距離をとった状態で、隼人は太股のホルスターからベレッタを抜いた。そのまま銀の銃口を佐奈に向け、引き金を引く。

(…砂鉄で防ぎ切れるかな?)

射出された9mmの弾丸は一直線に佐奈の心臓目掛けて飛んだ。
普通、魔法を発動させるのは魔法師の意思だ。故に、魔法師の反射スピードで追いつかない攻撃、不意打ちや銃器に狙われたなら予め魔法を発動させていなければ間に合わない。隼人が放った弾丸は、ほぼ必中、そのはずだった。
カンッ、と音がして、ベレッタから放たれた弾丸が硬い地面に落ちた。佐奈の胸には、傷一つない。蠢く漆黒の盾が、弾丸を弾いていた。

「…砂鉄を硬化魔法で盾状に硬めて、情報強化の術式で防御力の底上げ……あの一瞬で…?」

隼人に戦慄が走った。少なくとも、魔法の発動スピードでは目の前にいる女は隼人を上回っている。

「私の魔法を既存の概念で計るのは少々無理があるぞ」

「なっ!?」

佐奈の言ったことが気になるが、落ち着いて考えている暇は隼人にはなかった。
佐奈の操る砂鉄が隼人の左右から迫る。取り敢えず考えることを後にした隼人は、消失で砂鉄を消し去ると佐奈に向かって突進した。

(発動スピードは向こうが上、このまま攻撃しても全部防がれる。だったら…!)

右裾から短剣を弾き出し、雷でコーティングをする。柄の短い短剣を逆手に持って、隼人は佐奈へ斬りかかった。だが、当然、その漆黒の刃が佐奈へ届く前に砂鉄に邪魔をされてしまう。だが今回は様子が違った。
隼人が砂鉄の壁に構わず短剣を振り切ると、壁を形作っている砂鉄に綻びが生じた。その結果に笑みを浮かべて、立て続けに刃を振るう。すると、壁の斬られた部分が徐々に薄くなっていっているのが分かった。

(よし、干渉強度は俺のほうが上だ。一発デカイのかまして、砂鉄を全部俺の支配下に置く
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