Episode21:Project of color
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り敢えずそれは棚上げしておいて、隼人はこの女が今回の黒幕であることを悟った。
「…そうだけど、貴女は?」
「緑川佐奈、十字の道化師の一人だ」
緑川。少なくとも隼人は聞いたこともない姓だった。
「貴女の部隊はもう壊滅したよ。貴女も追い詰められて、もう逃げられない。さあ、大人しく人質を解放してもらおうか」
殺気を滲ませながら隼人がそう言うと、女はそれに臆した様子を見せず鷹揚に頷いた。
「構わない、誘拐した少女もそこに寝かせてある。好きにしろ。ただし、私の話を少し聞いてもらおうか」
「話?」
隼人が思わず疑問符を浮かべると女は「ああ」と言って小さく頷いた。
勿論、隼人にこれを承諾しなくてはならない義務はない。可能ならば今すぐに雫を保護してこの施設から逃げ出すのが得策だろう。
だが、何故わざわざ人質をとってまで自分と話したいのか、隼人はそこに興味を持った。だから隼人は、話を聞くことを承諾した。
隼人が殺気を収めるのを感じて、女は口を開いた。
「簡潔に言う。九十九隼人、私達の仲間になれ」
「………は?」
たっぷり数秒間固まって、隼人はなんとかそれだけを返した。それほどまでに、この緑川佐奈と名乗った女の言葉に驚愕していた。
「お前は私達と同じカラーズ計画によって生み出された人間だ。私達十字の道化師はカラーズ計画によって誕生した人々を保護している」
女の言葉に、隼人の頭の中の疑問符は増えていくばかりだった。
ただ、隼人にはもう一つの答えがでていた。
なにを考えているか分からない女に対して、隼人は思わず溜息をついた。
「…カラーズ計画?保護?貴女の言っていることは全く分からないんだけど、これだけは言っておくよ。俺は、『九十九家』という組織以外は属さない」
強い意志を湛えた瞳が、佐奈の光を映さない瞳と交わる。
「交渉決裂か。ならば仕方ない、力づくでも連れて行かせてもらう」
次の瞬間、なんの予兆もなしに隼人の足元の地面が砕けた。気絶している雫以外に他に人はいないのだから、隼人の目の前にいる佐奈がこれをやったのは明白だが、隼人の目に魔法式は映っていなかった。
舌打ちを漏らして、隼人は素早くその場から右へ飛んだ。先ほどまで自分がいた所が、黒いなにかに押し潰されるのを見て背筋に冷や汗が流れる。
戦闘が開始されて隼人がまず行ったのは雫の救出だった。
先ほどは好きにしろと言っていたが、交渉決裂した今、佐奈がなにをするか分からない。もしかしたら雫を人質にして自分の行動を制限するかもしれない。そう判断してのことだった。
加速魔法を発動して一気にトップスピードに乗った隼人は、一瞬で雫の元に辿り着くと彼女を抱えて後退した。
迫る黒い波を躱しながら、上の
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