その12
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立った。
いずれにしても、サスケは力不足なのに間違いはない。
タズナに事態の説明と謝罪をし終えたカカシに向かい、サスケは声をかけた。
「カカシ。あんたに頼みがある」
「人に物を頼む態度じゃないね、それは」
カカシのぼやきが聞こえて来たが、殊勝な態度など取れる自分ではない。
「オレはこいつを護れるようになりたい」
悔しいが、その為に何をどうしたらいいのか、サスケには分からない。
検討すらつかないのだ。
力不足である事だけはひしひしと感じられる。
そして、目の前に教えを乞える相手がいる。
なりふり構ってなど居られなかった。
そもそも、ナルトが再不斬に何かされたのは、サスケを庇ったせいだ。
二度とあんな風に庇われたりなどもしたくない。
胸の中に広がる悔しさと憤りをかみ殺して、サスケはナルトを抱えて立ち上がった。
サスケよりも背が低いナルトだが、完全に意識を失い脱力しているナルトは重かった。
重いと感じる自分が悔しかった。
だから。
「オレを強くしてくれ。あんたはオレ達の担当上忍だろう」
血を吐くような屈辱を感じながら、サスケは望みを口にした。
「私も、です」
不意に、隣でサスケに同意する声があがり、サスケは意外な気持ちで声をあげた相手を見た。
「私、もっと強くなりたいです!今の私じゃ、ナルトやサスケ君のフォローすら出来なくて、足手まといにしかならないっ!こんなに、ナルトと実力に差があるなんて思ってなかった。同じくアカデミーを卒業したばかりなんだから、実力に違いは無いって思ってた。でも、違かった」
悔しげに涙を浮かべて、サクラはカカシに懇願した。
「私、もっと忍びとしてサスケ君達に追い付きたいです!追い付かなきゃ、私…」
泣き出しそうになるサクラの頭に手を置いて、カカシは笑みを浮かべた。
「お前らの気持ちは分かった。それじゃ、タズナさんの家についたら、修行開始で良いのかな?」
カカシの返答にサスケは口の端がつり上がるのを感じた。
「望む所だ」
「も、勿論です!」
強くなれるというのならば、何も文句はない。
出来れば、護る方法も盗み取れればいい。
そうすれば、わざわざ頭を下げる必要などない。
それでもどうしても分からなければ。
その時こそ頭を下げねばならないだろう。
相手はこの上忍かも知れないし、もしくは、一度会ったきりの、自分が弟子入りを志願した相手かもしれない。
どちらにしろ、自分の目の前で易々と誰かを害されるのを黙って見ているだけの自分ではなくなれればいい。
もう二度と、こんな風に自分は何も出来ない子供だと突きつけられるのはごめんだった。
サスケは、もう何も分からず、ただ守られ、甘やかされて甘えていた子供ではない。
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