その12
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言も聞き逃す事など出来ないと感じていた。
「自らの意志で新陳代謝を落とし、死と同じ状態を作り出す事だ。上忍の中でも限られた人間しか自由にこの状態を作り出す事は出来ない。これは、上出来だな」
どこか安堵を滲ませたカカシの言葉に、サスケは反感を持った。
今のナルトの状態は、サスケにとっては到底上出来と言える物では無かった。
「何が上出来だ!こいつの意識が無い事には変わりは無い!」
サスケの言葉に、立ち上がったカカシは読めない瞳でサスケを見下ろして告げた。
「お前の言動から察するに、お前はナルトの事を知っているな?ならば分かるはずだ。ナルトの仮死状態はお前を守る為だ。結果として、随分状況は好転した。だが、まずは落ち着ける場所に移動してからだ。ナルトは暫くまともに動けないだろうからな」
カカシの言葉に、サスケは動揺した。
仮死状態が自分を守る為だとは思いもしなかった。
けれど、ナルトの中に封じ込められている物の発露ならば、何度か目にした事がある。
そして今日目にした状態は、修行中に目にした物とは桁違いの物だった。
何より、ナルトらしくもなく、痛めつける事を面白がっていた。
誰かを傷つける事を極端に嫌がるナルトの癖に。
それを思い出したサスケは、背筋に冷たい物が走り抜けた。
理性よりも本能の方が強い。
もしかしたら、ナルトは苦し紛れに、自分の中の九尾を解放してしまう危険があった事に今更気付いた。
それを嫌だとナルトは思ったという事だ。
あの時、ナルトがそうしてしまったとしたら、一番初めに死ぬのはサスケだったのだろうから。
ナルトの中の九尾がどれほどの物だかはしらないが、サスケはナルトに純粋な殺し合いなら負けると感じている。
サスケがナルトに勝てるのは、ナルトが忍びとしてしか行動していないからだ。
そんな拘りも何もかも捨てて、ナルトに殺す事だけを目的に襲って来られたら、サスケはきっと殺される。
そう思わせるだけの力をナルトは秘めていた。
だからこそ、余計に面白く無かったのかもしれない。
自分よりも強い相手に負けを認めるようで。
けれど、もしかしたらナルトの中で、自分は特別な位置にあるのかもしれないと気付いた。
少なくとも、殺したくないと思われている。
極限状態で助けを求めて縋られるくらいには、心を許されていた。
サスケはそれを薄々は知っていて、今まで敢えて見て見ぬ振りをしていた。
ナルトの助けになるには、サスケの力では不足している。
少なくとも、どうやったらナルトの助けになるのか分からない。
それに、一族を全員殺した相手に対する復讐すら、後回しにしなければならないかもしれないのだ。
しかし、こうして冷たくなったナルトを抱えたサスケは、そんな風に尻込みしていた弱気な自分に腹が
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