暁 〜小説投稿サイト〜
NARUTO 桃風伝小話集
その12
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ルトを化け物だとしか扱って居ないのだとばかり思っていた。
イルカのように、ナルトを可愛がりながら、化け物としても見てしまう自分に苦悩しているというでもなく、ナルトの存在をきっぱりと切り捨てているのだと思っていたのだ。
だが、どうやらそういう訳では無いらしい。
ふと、サスケの腕の中のナルトの気配が薄くなる。

「ナルト!?」

慌ててナルトを覗き込むと、顔を赤黒く染めて、瞳を閉じていた。
サスケの服を掴んでいたナルトの手から力がぬける。

「おい!しっかりしろ!」

どんどん顔色が蒼白になって行く事に恐怖を覚えたサスケは思わず叫んだ。

「死ぬな!俺を独りにするな!」

その声に押し出されるかのように、カカシが低い声で一言告げた。

「…行け」
「甘いな。いずれその甘さを後悔させてやる」
「それはこちらのセリフだ。俺の仲間に手を出した事、必ず後悔させてやる」
「ふん。白、行くぞ」
「はい。再不斬さん」

霧の忍び達が去っていく気配はあったものの、サスケの動揺は収まらなかた。
ぐったりとしたナルトの身体が、とても重く感じられた。
色々な後悔がサスケに過ぎる。
変な意地を張って、自分の気持ちを認めて来なかった。
ナルトと共にいる時間を大事に思っているなど、認められなかったのだ。
他に大事な物を作ってしまったら、サスケの復讐の邪魔になる。
けれど、里に復讐しようとしているナルトだったら、もしかしたら邪魔にはならなかったのかもしれなかった。
何故ならナルトは、復讐しようとするサスケを肯定してくれたのだから。
もしかしたら、復讐するよりも良い方法を見つける事が出来たのかも知れない。
けれど、それはもう、遅いかも知れないのだ。
気付くのが、遅すぎた。

「サスケ」

失う物の大きさに放心しかけていたサスケは、カカシの呼びかけにびくりと身を震わせた。
弱い所を見せるなど、サスケのプライドが許さない。
それなのに、醜態を曝しかけた事に気付き、サスケは顔に血を登らせかけた。

「ナルトを見せてくれ」

だが、カカシが続けた言葉にサスケははっとなった。
カカシがナルトを見やすいように、抱え込んでいたナルトを抱き直す。
しばらくナルトを検分していたカカシは、やがてポツリと呟いた。

「仮死状態だな…」
「仮死状態?」

隣から聞こえてきたサクラの声に、サスケは更にはっとした。
ここにはサスケとナルトとカカシの三人しか居ない訳では無かった。
依頼人であるタズナと、七班の一員である春野サクラも居たのだ。
まだナルトが死んだ訳ではないと知り、少し緩んだ気持ちは、自分が曝してしまった姿に、羞恥を覚えさせていく。
屈辱に歯を食いしばりながら、サスケはカカシの言葉に耳を澄ませる。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ