子どもでいて欲しいと願うのは俺のエゴです。
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「と、いうことで、これで夏休みに関する話はおしまい! 最後に、国語教師として皆に伝えたいことがある」
今日は一学期最終日。 明日からは待ちに待った夏休みだ!
……ま、教師に休みなんてありませんけどね! 一応土曜だから明日は休みだけど、月曜日からはまた出勤さ……。
「今回の期末テストについてだ。 ……このクラス全員が中間よりも点数が伸びて、みんな、本当によく頑張った。 全員に拍手を送りたい」
笑顔で拍手をすると、何人かの生徒は照れくさそうな笑顔を、また何人かの生徒は嬉しそうな笑顔を見せた。
「ただ、間違えて欲しくないことが一つ。 俺がここで『よく頑張った』と言っているのは、テストで良い点が取れたということだけじゃない。 テストで良い点数を取るためにたくさん努力したこと、その努力を称えているんだ」
「……それって、良い点取れなくても頑張れば良いってこと?」
「でも、点数取れないのは努力してないってことじゃないの?」
俺の言っていることが良く分からないのか、クラスが少しざわつく。
結城がゴホッと咳払いすると、ぴたりと静かになった。
あー俺結城に甘えてるなー。 学級委員様ありがとうございます。
「仮に良い点が取れなかったとしても、解けた問題を見ればみんなが努力したことが良く分かる。 授業を聞いていれば分かる問題、自主勉強もしないと分からない問題、テストにはそういう問題を出すからな。 ちょっと計算してみたんだが、中間テストより延びた点数の平均点は全学年でこのクラスが一番だった」
そう言った途端、数人の子ども達の表情がパッと明るくなった。 狙っていた平均点学年トップを達成できず、足を引っぱったと落ち込んでいた子達だろう。
「テストで高得点を取ることができれば、それは成績に直結し自分自身の武器になる。 しかし、長期的に見て尤もみんなの事を支えてくれるのは、困難に打ち勝つ努力ができるということだと思う。 みんな、本当に良く頑張った! 国語教師として、君達の担任として、凄く嬉しかったよ。 これで先生の話は終わりだ」
「起立! 気をつけ。 礼!」
「「さよーならー!」」
「さようなら。 二学期も全員元気に来るんだぞー」
そう笑顔で言うと、帰りの支度を済ませた生徒がワラワラと集まってくる。
生徒達と話しながらもチラリと福田の方を見ると、松浦が両手を合わせペコペコと頭を下げているのが見えた。
福田は困ったように、しかしほっとしたように笑っている。
良かった、これでもう大丈夫だろう。
「椎名先生」
生徒達と教室を出て下駄箱が近くなった所でまた後ろから呼び止められた。
振り返ると、今度は福田では無く結城がにこやかに笑いながら立っていた。
「あ、それじゃあ椎名センセーバイバーイ!」
「また二
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