第2章 赤龍帝と不死鳥の騎士団
第15話 ウェディングベルは不死鳥とともに
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「はやてお姉さまは、どう思われますか?」
「留学生のことかい?」
「ええ」
――謎の美少女が別のクラスに留学してくるらしい
今日のクラスは、留学生の話題で持ちきりだった。
この時期――しかも高校2年生という中途半端な時期――の留学は珍しい。
しかも、美少女という噂があればなおさらだ。
とりわけ、男子連中は朝から興奮状態である。
(駒王学園の女子はレベルが高いというのに、贅沢な話だ)
思春期特有の男子のノリにため息をつく。
同時に、自身のことを思い出して自嘲する。
(果たしてボクは、男なのか女なのか――身体は間違いなく女性なのだがね)
いまだ答えの出ない問題に思いを馳せつつ、会話を続ける。
むろん、マルチタスクの賜物である。
とはいえ、この学園は、7割近くが女子である。つまり――
「突然だもんね。普通、留学してくるなら、前もって知らされるはずなのにねえ」
「急な留学ということは、前の学校で何か問題を起こしたとか!?」
「ええぇー。問題児は勘弁してほしいな」
――噂話好きの女子が食いつく格好の話題なのだ。
珍しいということは、それだけでも興味を惹く。
なにかしらの理由――それが良かれ悪しかれ――がある可能性が高いのだから。
「普通」を尊ぶ日本人は、異端や例外には頑なだ。
反面、「普通」の枠内にいる身内には、とても優しいという美徳もあるのだが――
「――言い忘れていたが、彼女はアーシア・アルジェントといってね。ボクとは顔見知りなんだ」
言った瞬間、教室が喧騒に包まれる。
不本意ながら、ボクは有名人だ。
駒王学園三大お姉さまとして、良くも悪くも影響力を持っている。
そんなボクの知り合いということは、大きな意味をもつ。
「そうだったんですか。彼女には、その――」
「何か事情があるのではないか、かい?」
「え、ええ」
「グレモリー先輩の身内らしくてね。ずっと前から日本に興味があったらしい。やっと念願がかなって、駒王学園に留学してきたわけさ。少し前から、こっちに来ていて、ボクが色々と教えていたんだよ」
気まずそうに言い淀んだ彼女らに、「理由」を説明する。
安堵した表情の彼女らを見つつ、周囲に気を配る。
会話を聞いていたクラスメイトは、ボクの発言に納得したようだ。
ボクの知り合いということで、「見知らぬ留学生」から「お姉さまの知り合い」に晴れてジョブチェンジしたわけである。
「外国人かあ。日本語大丈夫かな」
「むしろ、あたしたちの英語の方が大丈夫かな」
話題も好意的なものに変わる。
もうひと押ししてやれば、
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