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第三十六話 好敵手
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はまともな連携をとるのは難しい。現に、ダリルと鈴はそれぞれが一対一で戦っていたしフォルテもそのつもりだった。だがセシリアだけは違った。意識の外からの彼女の攻撃が、試合を決定づけたのだ。
「お姉様ねぇ、そこのとこどうなの? 紫音さん」
突然話を振られた紫苑はドキリとするも、なんとか笑顔を保つことができた。
フォルテが騒ぎ出すころから声が聞こえる位置にはいたのだが、場がヒートアップしすぎて声をかけるにかけられなかったのだ。だが、どうやら鈴は彼が来ていることに気づいていたようだ。
「お、お姉様!? あ、あの……わたくし勝てましたわ」
突然現れた紫苑に、セシリアは慌てふためくもなんとか自分の勝利を報告する。
紫苑はその姿を見て、先ほどの引きつった笑みではなく心からの笑顔で応えた。
「はい、先ほど聞きました。頑張ったみたいですね。強くなっているようですし、以前あなたと戦ったことのある私も誇らしいです」
紫苑の言葉にセシリアは満面の笑みになる。
そのまま違う世界へ旅立ってしまいそうなほどの喜びようだ。
「あ、ありがとうございます! あの、お姉様と決勝で戦えるのを楽しみにしています!」
「ウ、ウチのことも忘れないでほしいッス……」
「はい、私も次の試合頑張りますね。フォルテさん……いたんですか?」
「ひどいッスよ!? 学年変わったらウチのことなんてどうでもいいってことッスか!?」
「ふふ、冗談ですよ。フォルテさんと戦えるのも楽しみにしていますよ。ただ……次の試合はそう甘くないですからね」
ダリルにこってり絞られたのか先ほどまでの元気が嘘のように沈み込んだフォルテが幽霊のように現れる。
紫苑はそんなフォルテとの久しぶりのやり取りに気が緩みそうになるも、楯無のことを考えて気を引き締め直す。それは隣に無言でついてきている簪も同様だ。
「あぁ、楯無のやつかなり気合いが入ってたぜ? もう会場に出てるはずだが……ありゃ本気だな」
それは、紫苑と簪もそれは変わらない。
二人とも楯無との試合には並々ならぬ想いがある。
「はい、望むところです」
そう答えたのは紫苑ではなく簪だった。
大人しそうな彼女が、力強く答えたことに周りは驚く。が、ダリルはそれを見て満足したように笑った。
「お前が楯無の妹か。まぁ、そんなの関係ないな。せっかくだから楯無をぶちのめしてこい」
そんなダリルに、今度は簪が驚いたようだったが再び力強く彼女は頷いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(一時、もう二度と叶わないかとすら思ったあなたとの再戦……ようやくその機会がきたのね)
紫苑が行方知れずとなってすぐ、様々な葛藤を楯無が襲った。
急に失われた存在、それはクラ
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