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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第81話 王都入城
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世界的に言うと最新の活版印刷を駆使して創らされましたからね。
 カントン・ド・サンガルに建てた修道院。後の世にはサンガル修道院と呼ばれる事となるのが確実な修道院でね。

 一度遠ざかって居た熱気と歓声が再び近付く事に因り、目的地。ヴェルサルティル宮殿が間近に迫った事が感じられる。
 その歓声は、金属製の豪奢な門。但し、金属製とは言っても、戦闘の際に防壁として使用するような堅固な門や塀、柵などではなく、現代日本でも豪邸の周囲を取り巻いているような見た目重視の門を馬車が潜った瞬間、それまでに倍するボリュームに膨れ上がった。

 歓声の洪水。いや、それは最早巨大な魔力。実際に魔法を行使している訳ではない。しかも、本来は魔法を使用出来ない人間が居るにも関わらず、人間の思い、想いが創り上げる魔法の力。

 これが、今のガリア王家に寄せられている期待。確かに、ルイ王子と言う偶像(アイドル)を作り出す為に俺とタバサが熟して来た仕事の内容を、ある程度の脚色込みで『うわさ話』として巷間にばら撒いて居るのですが、それだけではこの民衆。この場には貴族……多くはジョゼフの代に成ってから登用された官吏としての、領地を持たない貴族も含まれて居るとは思いますが、……その彼らの期待を受けられる訳は有りません。
 間違いなく、現在のガリア王家は、民衆の支持を受けて居ると言う事を感じさせられる状況。

 普段は通る事のないヴェルサルティル宮殿の正門を抜けた後、かなりの距離を真っ直ぐに進むだけで有った馬車が、右に向きを変える。
 そう。このまま進めば宮殿の正面に存在する噴水……ガリアに古くから伝わる太陽の伝承をモチーフとした像が飾られた巨大な噴水に当たる為、その噴水を迂回しつつ、反時計回りに進む王室専用馬車。

 その馬車の小窓から顔を俺が覗かせる度に湧き上がる歓声。
 予想通り、噴水広場を埋め尽くす人、人、人。その熱気と歓声の渦の中心を、わざとゆっくりと進む王室専用の馬車。
 但し、これは俺に対しての歓声などではなく、ガリア王国の王子に対する歓声。確かに、ルイ王子の功績と言われる物はすべて俺とタバサのなした仕事の結果なのですが、それでも、これを俺に対する歓声だと受け取ったら、流石にそれは問題が有るでしょう。

 俺はメンタル的には一般人。英雄でもなければ、聖人君子と言う訳でもない。こんなアイドルに等しい熱狂的な民衆に乗せられて、増長したら目も当てられない結果を作り出して仕舞う可能性が高いですからね。

 幾何学模様を基調としたフランス式……いや、この世界的に言うのならガリア式庭園を右目に収めながら、最後のカーブを曲がった時に目に入る豪奢な宮殿の姿。
 尖塔の高さ、……と言う点に於いてはトリステインの魔法学院の方が高い可能性も有りますが、敷地の面積に関
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