早とちりは俺の悪癖です。
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「Si-Na?」
「ハッ! えーと、そうだ! 時間はどうする? 仕事とか無いんだったら昼飯くらいご馳走するけど?」
「っ料理ができるのか!?」
「む、そりゃ一人暮らしだし出来るに決まってるだろ。 つっても男料理だからあんま期待されても困るけど……」
そこまで言って、ふとMituruが金持ちなのを思い出した。
きっと毎日美味しい物を食べているに違いない。
俺の料理なんか、ありがた迷惑だ。
カッと頬が熱くなる。
「ごめん、やっぱ各自で食べてからの方が――」
「ぜ、是非! Si-Naが良いなら是非ご馳走になりたい!」
「うぇ!? お、おお、そこまで言うなら――口に合うかは保証しないからな。 じゃあ時間は12時くらいでいいか?」
Mituruは嬉しそうに頷く。
最初の冷たそうなイメージは何処にいったことやら……。
まぁ、俺なんかの料理をそんなに楽しみにしてくれるならちょっと奮発しちゃおうかな?
「分かった。 それではSi-Naの――リアル付き合いするなら何時までもハンドルネームじゃ可笑しいな。 椎名の下の名前は何て言うんだ?」
「ん? ……隆也だけど。 別に苗字で良いんじゃないか?」
「苗字じゃハンドルネームと大して変らないだろう。 タカヤか……」
「……それなら俺も美鶴じゃなくて香坂って呼んだ方が良いか? ハンドルまんまだしな」
「いや、俺は父と被るから美鶴で良い」
「じゃあ俺も椎名で良い。 ――下の名前で呼ばれるの嫌いなんだ」
少し目を伏せると、Mituru――美鶴は少し眉を潜めたが頷いてくれた。
「そういうことなら椎名と呼ぶことにする」
「そうして貰えると助かる。 それで、俺の家だけど……当日は何で来る予定なんだ?」
「初めての場所だし、タクシーで行こうかと思っている」
ブルジョアめ!
「じゃあ住所教えておくな。 あ、携帯のメアドも交換しとくか?」
「頼む」
「それなら住所はメールするな。 携帯職員室だから一度戻ろう」
「わかった」
相談室から職員室まで、囲碁部の連中に見つからないようこそこそ移動していたら美鶴に苦笑されてしまった。
全く、誰のせいだと思ってるんだっ!
はい、俺の早とちりのせいです、すみません。
「はい、受信完了! それじゃ、後でメールするから」
「ああ、待ってる」
「じゃあ、またな!」
メアドを交換した後、タクシーに乗って帰る美鶴に手を振って見送った。
車に乗る動作から手を振り返す動作まで優雅だ。
これだからイケメンは……。
時計を見るともうすぐ8時だ。 ……仕事も大体片付いてるし、今日はもう帰るか。
グッと伸びをして校舎に向かい歩き出す。
色々な気疲れから開放されて、その時俺は油断していた。
――だから、気づか
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