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人狼と雷狼竜
修行の成果と……
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「すまない。助かったよストラディスタ」
 苦無を回収し終えたところで、朱美が礼を言いにきた。
「以前、俺も助けられた」
 それに俺は今は仮住まいとはいえユクモに住んでいる。同じ地で暮らす者は助け合う物だ。
「俺もまた何処で危機に陥るか分からない。その時は頼む」
「あいよ」
 俺の言葉に朱美は肩を竦めながら答えた。
「……ヴォルフ・ストラディスタ、だったか?」
 朱美の隣に立っていた大剣を背負った男が尋ねてくる。
「ああ」
「俺は黒長(くろなが)一鉄(いってつ)だ。テツって呼んでくれ。それと礼だ。助かったよ」
「ああ。俺の時は頼む」
「人狼とか言われてる奴のピンチとか想像付かんがね……っとスマン。気を悪くしないでくれ。口が軽いもんでな」
 一徹という男は強面に似合わずお喋りな性格のようだ。
「構わん。聞き慣れた」
「そうかい。そう言えば、あいつ等を鍛えてくれているんだってな?」
 一徹は救助者の怪我の有無を確かめている神無と、アイルーと何かを話している正太郎を差して尋ねてくる。
「大したもんだな。皆見違えたぜ。特に正太郎……随分と変わったな。ヘマをやらかすのは相変わらずだが」
 一徹は何処か嬉しそうに正太郎を見て言った。
 強面だが正太郎と同年代のようだ。……どうやら正太郎はこの連中に付いて行けなかったから、門番をやるようになった訳か。
 かと言ってこいつ等が悪い訳じゃない。当時の正太郎は自分を変える事が出来なかっただけだ。それでは見放されるのも無理は無い。
 だが、この男は素振りから正太郎の事を気にしていたようだ。
「確かに強くはなった。だが、あんた達にはまだ追い付いていない」
「そう簡単に追い付かれたら困るけどな」
「そうそう」
 一鉄の言葉に朱美が相槌を打つ。それもそうだな。だが今回の件を機に、このチームは更なる高みを目指すだろう。特に一徹には競争意識を向けられている気がする。
 追い付かれまいと焦らなければ良いんだが。高望みして大物に挑み、返り討ち……何て事になったら目も当てられん。
「ヴォルフさん! アオアシラが!」
 滅多に声を出さない椿の声がアオアシラの接近知らせる。
「怪我人を中心に円陣を組め!」
 指示を下すと全員がすぐに救助者と怪我人の周りに集まる。アオアシラか……そう言えば近くに居ると言っていたな。先程までの騒ぎを聞いて現れたか……だが、ジャギィ達の動きの変化に気付いていない筈が無いのだが。
 モンスター達は危機に敏感だ。取り分け天敵を持つ類は常に気を張って周囲に意識を向ける。
 自分の勢力圏に入り込んだドスジャギィ達の異変に気付いたのなら、わざわざ近付こうとはしない筈だ。それともアオアシラは前に現れた固体のように、横取りやお零れ目当てに現れるのがアオアシラの
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