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ネギまとガンツと俺
第23話「山な恋」
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背が高い女の子に思うことではないかもしれない。

 そう考えながらもボケッと見つめてしまうタケルに、彼女が首をかしげた。

「タケルどの?」

 ――キミに見とれていました。などと言える筈もない。

「あ、い……いや。なんでもない」

 慌てて取り繕い、立ち上がる。

「そういえば、長瀬さんはこんなところで何を? ……修行か?」
「にんにん♪」

 まったりと独特に肯定する忍者娘。

「そういうタケル殿は?」
「いや、俺も似たようなものだ」

 ――もう終わりだが。

 付け加え、視線を彼女に戻す。

 ばっちりと目が合った。

 差し込む夕陽の赤い光が二人を照らす。温かい空気が現実と心の両方に流れている気がして、今度は照れることもなく、優しく微笑みあう。

「じゃあ、夕餉でもどうでござるか?」
「……晩飯か?」
「馳走するでござるよ」
「……」

 少し考える素振りを見せる。勿論、嫌なわけはなく、また、本当に悩んでいるのでもない。

 ――付き合っているみたいだ! と思うのは俺の自惚れか!?

 なんて馬鹿なことを考えてたりする。

「駄目でござるか?」

 少し悲しそうに言う彼女に、首をブンブンと振り「いや、付き合おう」と頷く。陽の光のおかげで赤い顔もばれていないようだ。

「よし、それじゃあ行くでござる」
「行くって……どっ!?」

 尋ねようとしたタケルの手に温かい手が触れた。予想以上にささくれ立ち、節々が硬く……だが、小さく、柔らかく、優しいそれを感じさせる手だった。

「ほら、ご飯でござる〜」

 上機嫌にタケルの手を引っ張りつつ、楓が先に歩き出す。

「っ……ああ」

 彼女と手をつないでいることの恥ずかしさ。

 彼女との立場からの気まずさ。

 そして、他の誰でもない。彼女だからこその嬉しさ。

 ――だから、ついに。

 タケルは気付いた。

「……まいった」

 思わず呟いていた。

 きっと、これが――

「長瀬さん」
「……?」
「楓って……呼んでもいいか?」
「っ!?」

 驚いたように立ち止まった彼女の顔が赤い。何かをブツブツと呟き、だがすぐにまた歩き出し、

「いいでござるよ?」

 蚊の泣くような、可愛らしい声だった。

「ありがとう……楓」

 ――そう、恋なんだろう。




 沈みかかった太陽が温かく2人を包み込む。

 風が優しくなで上げ、自然がまるで楽しんでいるかのように舞い上がった。




 その日の晩。

 ウキウキと眠ろうとしたタケルはフと思い出した。

「あ」

 今日外出時にもってきていたバッグの存在を忘
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