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セファーラジエル―機巧少女は傷つかない
『"Cannibal Candy"』
#2
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クロスは姿勢を正すと、少女にぺこりと会釈をした。

「先ほどは失礼した。俺は鈴ヶ森(すずがもり)玄守(クロス)。今日、日本から二回生として転入した」

 クロスが自己紹介をすると、少女はいぶかしげな顔をした。

「クロス……?それにその髪、混血児(ハーフ)なの?」
「ああ……」

 どうやら、クロスの名前と髪の毛の色を不思議がったらしい。確かに『クロス』という名前も、白銀の髪の毛も、日本にはほとんどない気がする。

「いや。日本人だ。親父が白い髪を珍しがって、外人みたいな名前を付けたんだそうだ」
「へぇ……」

 素直に納得する少女。最初の印象ではとっつきにくい性格をしているのではないかと思ったが、意外と素直なところもあるようだ。
 
「《魔剣》の自動人形(オートマトン)を連れているところを見ると、貴女はフランスのブリュー家の令嬢とお見受けするが……?」
「驚いた。ブリュー家の事まで知ってるだなんて……そうよ。私はシャルロット・ブリュー。二回生で、順位は六位」
「ほう」

 今度はクロスが驚く番だった。学院内順位第六位。それはつまり、《夜会》のトップランカーである《ラウンズ》の一員であることを示す。二回生でその順位は賞賛すべきものだ。

「それはすごいな」
「そう?……私が順位まで言ったんだから、あなたも言いなさいよ」
「失礼した。……今の所順位はない。特待生だ」

 その瞬間。シャルロットの顔に、本物の驚愕が走った。

「特待生!?確か、高名な魔術師か人形師の推薦と、それにふさわしい実力がなければなれないっていう……この学院で見たのは初めてね」
「そうなのか?」
「ええ。噂では学院創設時に一人だけいたのを除けば、今日の今日まで一人も取られてないとか……」

 そうなのか、と内心で呟く。確かにそんなに多いものではないだろうと思っていたが、まさか自分がたったの二人目だったとは。

「まぁ、《夜会》参加資格を手に入れるには何かの功績をたてなくてはいけないらしいがな……そのうち、あんたの参加資格を奪いに行くかもしれないぞ」
「ふんっ、望むところよ。返り討ちにしてあげるわ」

 クロスはシャルロットに向かって手を振ると、白亜の建物を後にした。

「……工房の場所聞くの忘れた」

 本来の目的を果たすことを忘れていたのに気が付いたのは、それから五分ほど後のこと。

 結局、工房を見つけた時には時刻は午後五時を回っていた。
 

  ***


「……全1236人中1235位……」
「ほう、下から二番目(セカンドラスト)か。結構なことだ」
「何でだ!!」
「当たり前だ!!」

 ごすっ!

 隣で絶叫するライシンをひっぱたく。いやむしろぶん殴る。ライ
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