ミストガン
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ルザの目に薄く涙が浮かぶ。
「お?知ってる顔だったのか?」
ラクサスが笑みを浮かべる。
「ど・・・どうなってんだ!?ミストガンがジェラール!?」
「いえ、思念体の可能性もありますわ。評議員の1人だったジークレイン様もそうだったのでしょう?」
現れた素顔は敵対した男のもの。
その事実に驚愕を隠せないナツ、エルザ。直接的な敵対関係はなくても悪人と認識する顔が目の前にいて戸惑うシュラン。
対するジェラールはやってしまったと言いたげに顔を歪め、俯き視線を落とす。
「エルザ・・・『あなた』にだけは見られたくなかった」
「え?」
「私はジェラールではない。その人物を知っているが私ではない」
ミストガンがそう告げるが、エルザの驚愕や動揺は簡単には消えない。
目に薄い涙を浮かべたまま、エルザは小刻みに震えていた。
「ミストガン、これ」
「・・・すまない」
そこにメープルが歩み寄り、黒く長い布を渡す。
それを受け取ったミストガンは覆面の代わりにそれを顔に巻いた。
「メープル・・・お前もなんか知ってんのかよ!?」
普通、ジェラール似の顔を見たら戸惑い驚愕するであろう。
魔法界に生きる人間でジェラールを知らない人間は皆無に等しい。
が、メープルは微塵も驚かないのだ。
ナツの言葉にメープルはゆっくりとそっちを見つめ、口を開く。
「時が来れば全てが明らかになります。それまで私は沈黙し続ける」
そう呟くメープルの表情は、『無』でありながら『無』ではなかった。
「すまない、後は任せる。行くぞメープル」
「了解です」
「オイ!」
ナツが声を掛けるが少し遅かった。
ミストガンは体を霧のように変えてふわっとその場から姿を消し、メープルは転移系の魔法を使って姿を消した。
「だーっ!ややこしいっ!後回しだ!ラクサス、勝負しに来たぞ!エルザいいよな、俺がやる!」
考えるだけ面倒そうな事のオンパレードにナツは考える事を止めた。
イライラしながらナツが叫ぶが、エルザはミストガンの事で未だに呆然としている。
「エルザ!」
「!エルザ様前方を!」
ナツがもう1度名を叫び、シュランが慌てた様子で叫んだ瞬間―――
「ぐはあああっ!」
ラクサスの雷が容赦なくエルザを襲った。
「似合わねぇツラしてんじゃねーよ。ホラ!来な」
「くっ!」
「エルザ様!」
雷を喰らい、後ろへと地面を転がるエルザにシュランが駆け寄る。
「ラクサスーーーーーっ!」
ナツが叫んだ。
「俺が相手するって言ってんだろ!このやろォ!」
ラクサスを指さし宣言する・・・が。
「ん?いたのか、ナツ」
ナツはラクサスの眼中にも無かった。
その言葉にカチン
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