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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
十五夜 〜少年は真実を見るだろう〜
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懐から取り出したるは秘密兵器。


―――パッパカパッパッパーン!DNA鑑定書〜!である!


「これはテレビドラマなんかでよく出てくるDNA鑑定書だよ。ほら、ここの数字が塩基って呼ばれる奴で、これが沢山受け継がれてたら血が繋がってるよってなるの」
「え・・・?」
「一緒に調べてみよう。君とお父さんの血が繋がってるか」
「・・・・・・・・・」

少し間を置き、するり、と布団から抜け出した月子は床に置いた鑑定書まで辿り着いてしばらくそれを見つめる。そして見つめた後、俺の方を振り返った。

「数字が並んでるばっかりで、見方が分かんない。漢字も読めないのがある」
「・・・大丈夫、説明したげるから」

マイペースだな、あんた・・・
ゆっくりと、傍から見ればやきもきするほどに遅々としながら、2人は1つづつ数字を確かめていった。DNA鑑定書は俺が無限力によって作成したものだが、いんちきの類は誓ってしていない。いわば「調べればこの結果が出るだろう」という結果だけを取り出したに過ぎず、それゆえに嘘は入っていない。
DNA鑑定とて現代のそれでは100%の精度があるとは言えない。偶然の一致だってあり得るし、その逆だってある。それでも鑑定書が「親子だ」と認めれば人は安心を得られるんだろう。

少しふらついている月子を支えてやりながらも、俺は懇切丁寧にそれの解説に勤める。
彼女の力の暴走は心の暴走が原因だというのは以前にも説明したと思う。よって安定を取り戻せば虚数世界からの干渉が難しくなり、ちょっと小突いてやれば簡単に力の供給は途絶えるだろう。

「あの」

ふと、月子がこちらに声をかける。

「最近、変な夢を見た」
「どんな?」
「人とか、人じゃないのとか。いろんなものが沢山集まってて・・・ずっと悲しそうに嘆いている」

これは・・・プチ時を食らう者の干渉の所為で見た夢だな。さぞ恨み言が多かったろう・・・と思っていた俺の予想はちょっと間違っていた。

「もっと出番が欲しい、活躍の場が欲しい、画面にちょっとでも長く映りたい・・・って嘆いてた」
「そ、そうなのか・・・」

思いの外切実だったようだ。なんか売れない芸人みたいで居た堪れない感じがある。あいつら意外と所帯じみた思想してんのな。むしろ残滓母さんとかの方が例外的な存在だったんじゃ・・・?


後にその考えは大体合ってたことが判明するが、それをシャインが知るのはもっと後になってからの話である。


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