暁 〜小説投稿サイト〜
もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
十五夜 〜少年は真実を見るだろう〜
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がいる。彼は高校2年の際に堕天使と呼ばれる存在に殺されたことを”きっかけ”に神器という力を自覚する。しかし、神器自体は似たような”きっかけ”さえあれば自覚できるものであり、この世界には本来の彼の世界のそれより多くの”きっかけ”があったため、彼は既に力を自覚している。
東風谷早苗という少女がいる。彼女は中学から高校の間のいずれかのタイミングに親代わりでもある2人の神様と共に”幻想郷”と呼ばれる外界と隔絶された地へ旅立つことになる。これはその2人の神様の都合であり、なるべくしてなる結果なので、どんな”きっかけ”があっても最終的に彼女は現世から姿を消すことになる。
織斑一夏と東風谷早苗のイベントは背後関係や順序が予め決まっており、何があってもそれだけは必ずその時期に起こるものである。
涼宮ハルヒと兵藤一誠のそれは実際には運や条件が数多くあり、イベントの時系列や順序が大きく狂う可能性を最初から秘めたものだ。
そして、この例に挙げた4人と比べて鷺月子だけは、明らかにおかしな点があった。
彼女は「妄想代理人」と呼ばれるアニメにおいて主人公と言える人物である。
彼女の物語には確かに「マロミ」や「少年バット」と言ったキャラクターが関わっていて、それらは彼女が創作したものであることには間違いない。
だが、この時点で既におかしかった。
月子が「少年バット」というキャラクターを考え出したのは、彼女が12歳の時であり・・・
当時、彼女が自分の不注意で飼い犬の「マロミ」を死なせてしまったことが”きっかけ”で・・・
それを認めたくないがために狂言で「少年バット」という架空の通り魔をでっち上げた。
何が変わろうと、「少年バット」が生み出される順序と因果関係は決まっている。ハルヒ、一誠の例で挙げたような不確定さはあるが、一夏、早苗の例にある因果関係と順序を無視しているのだ。
これは明らかにチルドレンの法則性から逸脱しており、彼女が「仲間はずれ」である事の根拠になった。
そしてこうして目の前に立つと、何で今まで気付かなかったのか聞きたくなるほど濃密な力を感じた。さしずめチート
力
(
ぢから
)
とでも呼ぶべきか?それが暴走している感じがする。
さて、俺の調査結果に唯でさえ顔色の悪かった月子ちゃんはがたがたと震え始めてしまった。よほどお父さんが大事なんだろう。俺としてもこんなやり方はしたくなかったが、ここを認めてもらわねば彼女の力の供給が止まらないのだ。チート能力も使う人間の心次第で変化することがある。今回のは悪い例だ。
さて、彼女は思い込みが激しいタイプらしいので、それも踏まえて説得しよう。さっきから慣れない丁寧語してんのもその為ね?
「・・・そんなに怯えなくてもいい。ほら、これ。何だかわかる?」
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