暁 〜小説投稿サイト〜
もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
十五夜 〜少年は真実を見るだろう〜
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
年バットは、私が自分自身に憑りついているお化けをキャラクターにした存在だったから、少しだけクロエが自分を理解してくれたような気がしたのだ。
それからも、時々お話をしている。

「大人しくて口数が少ないけど、君と同じマイペースで一緒にいる事が苦痛に感じない良い友達だ。君はその願いがかなったことに気付いた日に、ある昔の”夢”を思い出してしまった。それは小学生になるより前に見た夢・・・そこは本や紙で埋め尽くされた場所で、君はそこにいる大人の人にこう言われるんだ。―――『君は死んでしまった。今から君にチート能力を与え、異世界に送ろう』・・・夢の中で、君は”理想を現実に変える能力”を受け取った。唯の夢だと思っていた君は、”自分の思い描く範囲の理想がある程度かなっている事に気付き”、急にその夢の内容に未だかつてないリアリティを感じたんだ」

いじめっ子が次々にいなくなったのは「お前たちなんかいなくなってしまえ」と考えたから。テストで百点を取ったのは「高い点を取って父に怒られないようにしたい」という願望(りそう)発露(じつげん)。クロエが自分の学校にやってきたのは、彼女自身がそうあれと願ったから。母親が居ないのは、今更新しい母親が出てきてもどう接したらわからなくて要らないと思っているから。
全ての事象はお化けなどではなく、彼女の心を中心に起こっていたのだ。
認めたくなかった。全ては私が起こしたことだったなんて。
でもそれよりなにより私には受け入れられないことがあった。

それを考えてはっとする。彼は―――わたしの、言葉に出してはいけないこの想いを知ってるんじゃないのか?知っていて、今から言葉にして出してしまうつもりなんじゃないのか?さっきからそうしていたように。
止めて、と声に出したいのに、喉から漏れるのは荒い吐息だけ。


「君はそれをどうしても受け入れられなかった」

―――止めて。

「何故ならば、もしそうなのであれば君はその夢を見るより前はこの世界にいなかったことになる」

―――止めてよ。

「それはつまり、『君のお父さんは―――



    ―――止めてっ!!



       『止めろ!僕のトモダチを虐めるな!!』


「あ・・・」

それは犬の様なぬいぐるみだった。フォルムだけで言えば昔に流行った「たれぱんだ」を彷彿とさせるそれは、怒ったようにその眉を顰めて男の子の前に立ちふさがった。それは、もし自分が犬を飼えたらというイメージで描いたキャラクター「マロミ」を模して彼女の友達が作った手作りのぬいぐるみだった。

本当なら起こりえない現象。物理的にも科学的にも有り得ないはずのそれは、確かに私を庇うように動き、喋っていた。―――私が犬を飼いたいと思った理由、「私が来るしい時に庇って
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ