暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/InterlaceStory −剣製の魔術師−
プロローグ~異世界へ~
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の頭に浮かぶは妻である桃子の悲しげな顔と、娘であるなのはの寂しげな表情。
二人にこのような顔をさせてしまった原因は紛れもなくこの流派によるものだった。
ある事がきっかけで士郎は重傷を負って病院に運ばれたことがある。
桃子や恭也達は顔を蒼白にさせながらも父の看病をし、その間――まだ幼いなのはを家に一人残してしまった。
退院して帰宅してからというもの、出会った娘の表情がどんなに寂しげであったことか今でも想像に難くない。
「――問題は私が引退してから、どんな事態が起きるかということだけど……」
そこまで口にした士郎はやれやれと首を横に振り、その先を続ける事はしなかった。
――何を馬鹿な心配をしてるんだ私は。これから何が起こるか……そんなものは魔法使いでも分かる筈もないことなのに――そんな自嘲の笑みを浮かべて。
これ以上はどう鍛えようが身体に負荷がかかるだけだと悟り、一先ずは家に帰ろうと小太刀を鞘に納めたその時――森自体を震動させるほどの爆音と共に、閃光が一辺を白く染め上げた。
その事態に士郎は驚きながらも冷静を取り戻し再び小太刀を抜き放つ。
―― が、光が収まり視界を取り戻すと同時にそれを放り投げていた。
「……何でこんな所に人が倒れているんだ?というよりいつの間に……いや、そんなことを暢気に考えてる場合じゃない!」
動揺から立ち直ると直ぐ様、その少年を抱き上げる。
見れば恭也と同じくらいの歳かそれより一つか二つほど下のくらい。髪は赤銅色で反射具合では銀色のようにも見えるが、問題はそんなことではなく彼の状態だ。
全身至る所に刺し傷や切り傷が見られ、こうしている今もそこから血液が流れ続けている。
呼吸も浅く、こうして生きていること自体が不可思議に思える程の致命傷だった。
「――何が起こってるかさっぱりだけど手当てをしないと……!」
普通ならこの判断は間違いなくおかしい事は士郎にも分かっていた。
状況からしてこの少年は確実に裏の世界に関わっている。
だが、それを理解した上で助けようとするのは――彼がこのような状態になったときの桃子の顔が脳裏に浮かんだからだ
士郎は腕に抱えている少年を落とさないようにしっかりと抱え直すと、自分に出せる限りのスピードで山道を駆け下りていった。
-Interlude-
頬にひんやりとした感触が伝わり、薄く瞳を開ける。目には入るは自分の知らない天井。
「――ここは……どこだ?」
未だに朧気な意識の中で、首だけを動かし自分の寝かされているらしい部屋を見渡す。
するとその途中で栗色の髪をした女性が視界に入り、視界の動きもそこで止める。
その女性は自身を見つめる士郎に気付き呆然としていたが、我に帰っ
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