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ソードアート・オンライン 〜白の剣士〜
第七十五層攻略会議にて
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ヒースクリフは目を閉じ、ささやいた。

「結晶による脱出が不可な上に、今回はボス出現と同時に背後の退路も絶たれてしまう構造らしい。ならば統制のとれる範囲で可能な限り大部隊をもって当たるしかない。新婚の君たちを召喚するのは本意ではなかったが、了解してくれたまえ」

「協力はさせて貰いますよ。だが、俺にとってはアスナの安全が最優先です。もし危険な状況になったら、パーティー全体よりも彼女を守ります」

「君はどうかねシオン君?」

「・・・まあ、一応同じ部隊の隊員だしな、部下の面倒を見るのも隊長の勤めだからよ」

「了解した、君たちの勇戦を期待するよ。攻略開始は三時間後。予定人数は君たちを入れて三十四人。七十五層コリニア市ゲートに午後一時集合だ。では解散」

それだけ言うと、ヒースクリフとその部下は一斉に立ち上がり、部屋を出て行った。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

「さて、どうしたものかね・・・」

俺は本部内のフロアで椅子に座り考え込んでいた。
今回の攻略は熾烈をきわめるだろう、何人かが死んでもおかしくない。
それを考えると頭を抱えたくなる。

「シオン、少しいい?」

「エリー・・・ああ、構わないよ」

エリーは俺の隣に座り、ただ黙っていた。

「ねぇ、シオン」

「ん?」

「今回の攻略、どう思う?」

「・・・かなり難儀だな」

再び沈黙、それは長く続き、

「・・・シオンの、シオンのスキルでどうにかならないの?」

その質問はいつかは聞かれるだろうと俺は覚悟していた。このような異質きわまりない力を持っていれば誰もが思うこと、それが“創造の力”ならなおさらである。しかし・・・。

「無理、だな・・・。俺もそうできるものならそうしたい、でも、それは“全開の俺”ならの話だ」

「全開、の・・・?」

「俺のこの力は無限ではないということだ」

「それって、時間制限のこと?」

俺は首を横に振った。

「もちろんそれもあるが、そんなもんは休めばなんとかなる。だが、俺が言ってるのはそういうことじゃない・・・」

「どういう・・・」

「“これを”・・・“クロス・オーダー”を使えば使うほど俺は代償を払ってる、“自ら、命を削ってるんだ”・・・」

「えっ・・・」

エリーは言葉の理解に苦しんでいるように見えた。

「驚くのも無理はないよな・・・こんなに“ピンピンしてるように見えて、内心では爆弾背負ってるんだからよ”・・・」

「そんな、どうして・・・」

「心配かけたくなかった、って言えば身勝手かもしれない。でも、言ったら止めるだろお前含めてみんなが」


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