Development
第三十五話 居場所
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う事態になり、以降は国際条約で一切の開発が禁止されていた。
一般にはほとんど知られていない技術ではあるが、ISに関する案件は束との付き合いもあり幅広く網羅している紫苑は、下手な国の機関より知識がある。このVTシステムも技術の根幹までは把握していなくても既知のものだった。
『西園寺、どうやらイレギュラーが発生したようだ。このままではトーナメントを中止せざるをえない』
そんな折、千冬から紫苑へ通信が入る。目の前で起きている現象が明らかに異常であることは、その根源にたどり着いた紫苑には理解できている。
しかし紫苑としては、このまま前回のクラス対抗戦のように中止にすることは避けたかった。学園行事の度重なる中止は、亡国機業のようなよからぬ災禍を招く隙にも繋がる。それは千冬も同じように考えているのだろう、だからこそ彼女はこうして紫苑にのみ通信をしてきたのだ。
『状況は理解できました。このまま彼女を止めた場合、情報の拡散は防げますか?』
『こちらで異変を察知した時点で映像機器は止めた。観客席からはまだ砂煙で状況はうまく把握できていないだろう。あとの状況は機体に搭載された実験的な機能が暴走したとでも説明できる。だが、そのためには迅速な対処が必要だ、できるか?』
『やります』
もう一つ、紫苑にはどうしてもトーナメントを続けたい理由があった。
それはこのトーナメントこそが、この場にいる者達の絡みついた関係を解きほぐす絶好の機会だと認識していたからだ。ラウラに関してはこうなった以上、どうなるかはわからないがこの場を収拾して勝ち上がればその先には楯無がいる。
簪は、例えその結果がどうなろうとも一度彼女と対峙しなければ前へ進むことはできない。そしてこれを逃せばこんな機会はいつになるか分からない。
故に彼は決意する。必ずラウラを止めてみせる、と。
直後、紫苑の思考を遮るようにラウラが襲い来る。居合いに近い中腰からの一閃、初見で躱すのは困難な必殺の一撃は紛れもなく千冬のものだ。
『……軽いですね』
だが、だからこそ紫苑にはそれが防げた。所詮はコピー、劣化版である。どんなに姿形を似せようとも、彼女の強さの根幹はそんなものではない。それは今まで幾度となく千冬の太刀筋をその身で受けてきた紫苑は理解していた。ただ型だけをなぞったそれはただの空虚な物真似、一笑に付す程度のものだ。
(でも……この感覚はあのときの……まさか、ゼロスシフト!?)
遠目からでも感じていた感覚は、直接斬り結ぶことでより明確になった。それは、かつて自身が陥ったコアの暴走とも言える状態。しかし、各国に配分されたコアは事前に束によってプロテクトがかけられていたはずだ。
(もしかしてVTシステムは……故意にコアを暴走させて、それをシ
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