十七 駆け引き
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た当人達だが、すぐさま口を一文字に結ぶと白を真正面から見つめ返した。
「―――僕が、貴方がたを殺します」
「望むところだよ……」
まじりけの無い正真正銘の殺意。特に白とキンは視線を激しくぶつからせる。彼らが互いに敵意を抱いているのは明白である。
顕著な敵対に、先が思いやられるとナルトは頭を抱えた。憐れみの目で見てくる再不斬に向かって、彼は額を押さえながら再度頼み込む。
「とにかく。ドスとキンのこと、よろしく頼むよ」
「…こいつらのお守だけで終わるなんて御免だぜ?」
横目で再不斬がナルトの様子をさり気なく窺った。明らかに何か期待している風情を彼から感じ取ったナルトは、困ったように目尻を下げる。
「悪いけど用事があってね。それが終わるまでは、四人で、ここで待機していてほしいんだが…」
『四人』を強調して言うナルトに眉を顰めつつも、白がすぐさま申し出た。
「用事、ですか…。何かお手伝い出来るならば――」
「いや、二人の手を煩わせるほどのものじゃないよ。それに、用事と言ってもちょっとした野暮用だから」
何一つ変わらぬ表情で、ナルトは白の申し出をやんわりと断る。だが彼のあっさりすぎる受け答えに、白と再不斬はほんの僅かな違和感を感じた。彼らの何か言いたげな表情を正確に読み取って、やはり、と感じ入ったかのような風情をナルトが珍しく顔に出す。
「俺の仕事はここまでかな?――――詳細は、本人が散歩から帰って来たら聞いてくれ」
「え?」
「おい、まさか…」
あまりにも不可解な発言をナルトが言い放つのと、白と再不斬が身を乗り出すのは同時だった。捉えどころの無い笑みを浮かべたまま、ぽんっという軽快な音と共に彼は掻き消える。
もくもくと上がる白煙。本人ではなく影分身であった事実に、再不斬は思わず悪態を吐いた。
「影分身かよッ!本人寄越せってんだ!!」
「ナルト君もお忙しい身なんですよ…」
同様に一瞬渋い顔をした白だったが、彼はすぐナルトを庇うような口調で再不斬を宥める。その一方では、ドスとキンが未だ呆然と立ちつくしていた。
蝋燭の蝋がぼとりと溶ける。
燭台から棚引く細い煙がナルトの術の名残である白煙と雑じり合い、天井へと高く立ち上っていった。
星空を覆う厚い雲。月をも隠す叢雲が小夜嵐に吹かれ、速く速く流れてゆく。
風は雲だけではなく、回廊をも吹き抜けた。その嵐の如し強風で、燈籠の灯火全てがふっと消え入る。
完全な闇。赤の調和を織り成していた内装が一瞬で闇黒に塗り潰される。幽暗に閉ざされた唐紅の回廊。
つつ闇の世界で、今まで黙していた大蛇丸がぽつりと呟く。
「……一つ、方法があるわ」
「へえ。どんな?」
唐突な相手の発言に、幾分か
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