十七 駆け引き
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がその静寂を意図も簡単に破ったのは、他でもないナルトだった。目線で火花を散らす二人を、いつもの穏やかな表情で彼は仲介する。
「白。キンも千本を使うんだよ。だから色々手解きしてやってくれないか」
「しかし、あの大蛇丸の部下なんですよ!?」
戸惑って瞳を瞬かせた白が、ナルトに対して珍しく声を荒げた。だが彼は白を安心させるような笑みを浮かべ、ぽつりと、しかしきっぱりと「今は違うよ」と否定する。
「やけに断言するが、根拠はあるんだろうな?」
白とキンの争いを人事のように眺めていた再不斬が聞き質す。彼の質問に、ナルトはすっと目を細めた。
「もし大蛇丸と未だ繋がっているならば、この宿をすぐさま密告するんじゃないか?時間はたっぷりあったんだから」
「窓の外でわざわざ待機させていたのはそれを確かめるためか。相変わらず食えない野郎だ」
ナルトと再不斬のやり取り。特にナルトの発言に、キンは一瞬ショックを受けたような表情を浮かべる。反してドスは至極当然といった顔をした。
「もっともな判断ですね。それぐらいは誰だって試すでしょう」
「なるほど?自分の立場をよく理解してるじゃねえか、ガキ」
「ドス・キヌタです」
内心怯みながらも自身の名をドスは堂々と主張する。少々生意気な態度にも見える彼を、いい度胸だ、と再不斬は笑った。
「ドスか…。なかなか気に入ったぜ。ビシバシ鍛えてやるから覚悟しな」
「再不斬さんッ!!」
咎めるように申し立てる白を片手であしらって、ドスの鍛錬を引き受ける再不斬。彼の様子から一先ず胸を撫で下ろしたナルトが、今度は白と目を合わせる。青い瞳に見つめられた白は一瞬言葉に詰まった。
「で、ですが…。大蛇丸が黙ってはいないでしょう…!?」
目を泳がせつつも白はなかなか引き下がらない。
異常なまでに彼はナルトに傾倒している。依存と言っても過言ではない。要するに不穏分子をなるべくナルトに近づけたくないというのが白の本心である。
故に同族嫌悪からか、同じくナルトを心酔する君麻呂と犬猿の仲なのだ。
長年のつき合いから白の心情を把握した再不斬が深々と嘆息を漏らす。そしていい加減不毛な反論を聞くに忍びないと思ったのか、不意に声を上げた。
「どうせ抜け目のないお前の事だ。手は打ってあるんだろ?」
問いというより確認の言葉を再不斬はナルトに投げ掛ける。蝋燭の仄かな薄明かりによって、ナルトの顔がぼんやり浮かびあがった。
その横顔をじっと見つめていた白が観念したかのように頭を垂れる。結局彼は昔から、ナルトに頼まれては嫌とは言えないのだ。
「わかりました…。ですが、もしナルト君を裏切るような素振りを少しでもしたら――」
いっそ純粋なほどの殺気を纏い、白は鋭い視線でドスとキンを見据える。射抜くかのような彼の眼光に一瞬面食らっ
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