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渦巻く滄海 紅き空 【上】
十七 駆け引き
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「どういう事か、説明はあるんだろうな?ナルト」
「ちょっと再不斬と白に鍛えてもらおうと思って」
再不斬に詰問されたにも拘らず、要点だけを口にするナルト。それでは要領を得ないだろうと思うドスとキンの懸念は、しかしながら杞憂に終わった。
「ハッ!また拾ってきやがったな。その拾い癖、なんとかしろよ」
ナルトの読めない行動にいい加減馴れているかのような言葉を発し、再不斬は呆れ果てたとばかりに肩を竦めた。その一方でナルトの身を案じているのか、白は疑惑の目でドス達を睨んでいる。

未だ己の傍から離れない白を、ナルトはドスとキンに紹介した。同様に紹介されても、ぞんざいな受け答えをしていた再不斬が横目でナルトを見遣る。
「で?さっきありえない事聞いた気がするんだが、気のせいか?このガキ共を鍛えろだと?」
「聞こえてるじゃないか」
「はぐらかすのは止めろ。使えるかどうかの前に信用出来るかが問題だろ」
「そ、そうですよ!!素性も解らない者をナルト君の傍に近づけるわけにはいきません!!」
読めない笑みを浮かべるナルトを胡散臭げに見る再不斬と、あくまでもナルトを気遣う白。
埒が明かない三人の口論に終止符を打ったのは、議論対象の一人であるドスの一言だった。


「確かにそう簡単に信じてはいただけないでしょうね。なんせ僕達は大蛇丸様――いや、大蛇丸の部下だったんだから」
「ド、ドス!!」
素直に以前自らが仕えていた相手の名を露見するドスに、キンが慌てて口を挟む。だがそれより早く白が動いた。



人体の急所を寸分違わず狙い、白はドスに千本を投擲する。咄嗟にキンが白と同じく千本を投げ打った。互いの千本が空中にて搗ち合う。


「なッ、なにすんのよ!?このクソ女!!」
両手に千本を構え、キンが怒鳴った。彼女の怒号に含まれた一つの単語に、白はぴくりと反応する。
「僕は男ですよ…」
全身に威圧感を滲ませた白が、小さく、しかし鋭い声で囁く。
彼の言葉を耳にして、ドスは思わず目を見開いた。同様に驚愕したキンだが、彼女はすぐ気を取り直して猶も言い募る。
「ハッ!男の癖に女みたいな顔だな」
実際のところ、キンは綺麗な顔をしている白に嫉妬していた。男だと知って益々妬み、わざと皮肉を言い放ったのだ。
彼女の言い草がカチンときたのか、白が無言で一歩前に進み出た。

その場に立ち込める険悪な空気。

それを物ともせず、再不斬は愉快げにくくっと低く笑った。不遜な振舞いをする再不斬と悠然と構えるナルトを交互に見遣りながら、ドスがはらはらと固唾を呑む。再不斬とドスの態度が真逆であるのに対し、白とキンの表情は疑似していた。
ドスの視線の先にいるのは、相手の鼻に噛みつかんとばかりにいがみ合う二人の姿。

重く気まずい沈黙が暫し続く。だ
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