第30話 ヘルヘイムの森 紘汰&ヘキサ @
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紘汰もまた、光実たちが全員“森”に消えたことを確認してから、自らもサクラハリケーンにヘキサを乗せて“森”に突入した――が。
「大丈夫? ヘキサちゃん」
「だいじょうぶ、です。ちょっと、香りが……でもだいぶ、なれましたから」
――森に入ってすぐ、ヘキサは「甘い香りがしてきもちわるい」と訴えた。最初は訴えるだけだったが、森を進むにつれて徐々に顔色を悪くしていくヘキサを、紘汰はこれ以上歩かせたくなかった。
よって、足での探索から、待ち伏せに切り替えたのだ。
本当は樹の上に登れればよかったのだが、具合の悪いヘキサにそんな真似はさせられず、こうして、ちょうどよくあった岩と茂みの隙間に隠れている次第だ。
(ミッチから預かった、ミッチの大事な妹なんだ。ミッチの信頼に応える意味でも、俺が絶対この子を守らないと)
「! 葛葉さんっ」
ヘキサに促された紘汰は、すばやく外を覗いた。同時に、地面にグリドンが倒れ込んだ。
尻餅を突いたまま後ずさるグリドンにサーベルを突きつけるのは、あの白いアーマードライダー。
「始まった――!」
グリドンが白いアーマードライダーによって昏倒させられる。すると兵士の格好をした人々がやってきて、気絶した城之内を囲んで散弾銃を構えた。
『クラックの外に連れ出して、放り出せ!』
兵士が気絶した城之内を引きずって行く。それを見送り、白いアーマードライダーは別の方向へ去って行った。
「ヘキサちゃん、一旦出よう。動ける?」
「はい、だいぶラクになりましたから」
まずは紘汰が岩の間から外にずるりと這い出す。次に、ヘキサの体を引っ張り上げた。
ヘキサは楽になったとの申告通り、先ほどよりは元気そうに動いて紘汰に付いて来た。
兵士たちを追って着いたのは、何かの調査隊のキャンプのような場所だった。
紘汰とヘキサは近くの木の幹に隠れて様子を窺った。
兵士の一部が城之内を引きずって、大きな裂け目から出て行った。今まで見たものよりずっと大きなチャックだ。
「裂け目のことを、クラックって呼んでんのか――」
「裂け目?」
「アレ。あそこのジッパーみたいなのが、この“森”と俺たちの世界との出入口なんだ」
紘汰はいかにも怪しげな白いテントを見やる。大体こういう場合、ああいった屋根のある場所にデータが集められているものだ。
問題はどうやってテントに怪しまれず入るか。
悩んでいると、ヘキサが紘汰の服の裾をくいくい引っ張った。
「――わたしが出ます。さわぎになってる間に葛葉さんはテントに忍び込んでください」
「え!? …っとと。ダメだ。ヘキサちゃんみたいな子に、そんな危ないことさせられないっ」
声を潜
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