十六 内通者
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木ノ葉病院のある一室で、昏々と眠り続けている少年の顔を一人の青年が見下ろしている。彼の足下には、動物を模した面をつけている者達が倒れ伏していた。
「――優秀過ぎるってのも考えものだね。僕らは目立ち過ぎた…。大蛇丸様の目に留まったのはお互い不幸だったかな?」
昏々と眠る少年――うちはサスケの枕元で、静かに語り掛ける青年――薬師カブト。
うちはサスケを殺せば、大蛇丸の次なる転生は不可能となる。今ならば彼の野望を阻止出来るのだ。伝説とまで言われている三忍を出し抜ける、大蛇丸を翻弄出来る……などという考えがカブトの脳裏を過っていく。
三忍の一人であるあの大蛇丸の運命を自分が握っている。今、この少年を殺せば…。
大蛇丸を越える事も不可能ではないかもしれない。
ゴクリと生唾を呑み込んだカブトは、懐からメスを取り出した。鈍い光を放つソレを彼はゆっくりと……。
「……流石カカシさんだ。僕の死角からの攻撃を止めるなんて…」
手首だけで投擲してきたカブトのメスを、片手のみで易々と掴み取った銀髪の男。
歪んだ笑みを浮かべるカブトからの賞賛に、彼は苦々しげな表情で問い掛けた。
「………ここで何をしている?」
メスを床に投げ捨てた畑カカシは、倒れている者達に目を向ける。彼の視線の先を追って暗部達を見たカブトが忠告の如き発言を漏らした。
「護衛の暗部…今度は最低、十人は用意しておいたほうがいいですよ」
「…助言とは余裕だな。コイツに何の用だ?」
「貴方に答える義理は無いと思いますけど?それに、状況はこっちが有利なんですから…」
剣呑な片目を吊り上げるカカシに対し、カブトは綽然たる態度を崩さず軽口で答えてみせる。
懐から今度はメスではなく匕首(ひしゅ)という鐔の無い短刀を取り出したカブトは、ソレをサスケの首筋に押し付けた。
俊敏な動きで匕首を振り上げるカブト。今にも胸に突き立てようとした刹那、彼の手首を小さな手が素早く掴んだ。
「…なら、おとなしく殺される義理もないな」
意識を失っていたはずの少年が、自らの身体を纏うチューブを引き千切りながら笑っている。
その光景に酷く驚いたカブトは一瞬動きを止めた。無防備に佇むカブト目掛けて、カカシがクナイを投げ打つ。
クナイが風を切る音でカブトは我に返った。慌てて匕首を構えるが、ベッド脇でこちらをじっと見据えるサスケが気になって仕方が無い。
すっかり当惑したカブトは、次々と襲い来るクナイの嵐を弾くのに精一杯となってしまった。
「くッ!!」
病室という狭い場所であり、尚且つサスケという人質がいるからこそ迂闊に手を出せないだろうと思っていたカブトは冷や汗を掻く。
『呪印』の暴走及び【封邪法印】での疲労により意識を
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