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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六六幕 「スタートライン」
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ようになったわけじゃないんだからね?」
「佐藤の言うとおりだ。今回はあくまで様子見に過ぎんことを忘れるな。そして、張り切るのは結構だが実技は怪我と隣り合わせの科目だ。デッケンに気を取られて内容を疎かにすることのないように!」

流石は担任、ぴしゃりと締まった。ユウがいればもう少し簡単に締められたのだが、彼は生憎まだ病院のベッドの上だ。もうすぐ怪我も完治して戻ってこられるという話だったからそれまでは率先してこの仕事をやらねばならない。何せ私は教務補助生という御大層な役割を預かってるんだし、と心中でぼやく。

「それと佐藤。お前は補助生としてデッケンの指導をやってもらう。いいな?」
「イエス、マム!」

実際にはよろしくもよろしくなくも拒否権は無いのだが。周囲の嫉妬と羨望のまなざしが痛い。トーナメント以降はもっと痛くなった。でも誰も私の悪口とか言わない。何でかと思って学校の裏サイトを探ってみたら、「呼び捨てにしようとしたら口が勝手にさん付けしてた」「キーボードで“さ”と入力したら予測変換に一発で“佐藤さん”が表示された」「佐藤さんに逆らおうとすると息が出来なくなる」「名前を言ってはいけないあの人」とか別の意味で散々なこと書かれてた。織斑先生に高く買われているのも大きなポイントになってか上級生までさん付けしてくる。

(どうしてこんなことに・・・どこかで何か間違えたのかなぁ?)

憂鬱だ。私は自分でもそれほど意識しないうちに、インフィニットストラトスの世界にずぶずぶと埋まりつつあった。



= = =



頼まれたならばやらねばならないのが生徒の辛い所。とはいえベル君の世話を焼くのは慣れているので抵抗は無かったりするが。事前に専用機のフォーマットとフィッティングは済ませてあり、その段階で山田先生にIS操縦の基礎くらいは教わったらしい。実際に授業内容に即して指示を出し、ベル君が従う。少し離れた所からほかの生徒達の視線を感じるが、織斑先生の咳払いと共に無くなった。

ベル君の動きはやはりというか初心者相応の動きであった。当然だろう、だって初心者だし。さらに言うならばやはり本人が運動を得意としていない事と虚弱な体の所為で体力そのものが足りていない事が難点かな。ISのパワーアシストに若干振り回されているのが重心の動きで分かる。・・・おお、なんか言ってることがプロっぽい。などと馬鹿丸出しな発想はさておいて、歩行などの基礎は一通りできているが、方向転換やターンが怪しい。

事前に見たデータによるとベル君のIS適性はCと低い部類に入っているため、イメージとのズレで余計な体力を使っているように見受けられる。・・・箒ちゃんは適正Cなのに修羅の如き動きを見せるので適正なんぞ当てにならん、という考えもあるが、やはり初めのうちは適性の差
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