幕間 音の三人衆
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十一もの予選試合を繰り広げたその場では、依然として本戦の説明が厳かに行われている。
騒然とする闘技場とは違い、医務室の中はひっそりと静まり返っていた。唯一聞こえる音と言えば、医療班員が静かに立てる寝息と子どもの足音のみ。だがその足音がやけに荒々しい事から、音を立てる者の機嫌の善し悪しが窺える。
「いい加減、落ち着きなよ…。ザク」
「これが落ち着いていられるかっ!」
音隠れの忍びに宛がわれた室内で、忙しなく歩き回っていたザクが怒鳴る。苛立たしげに床を踏み鳴らすその様に、諫言を告げたキンが肩を竦めた。
「あの野郎…ッ、本戦説明が終わるまでに答えろなんて何様のつもりだ!?」
苛々と目に角を立てながら、ザクはベッドの脚を八つ当たり気味に蹴り付けた。
全身から怒気を発する彼の真向かいでは、ドスが壁を背に沈黙を貫いている。双方の態度は明らかに対照的であった。
「そんな言い方してないじゃないか。「返事を訊かせてくれ」だったよ」
控え目にだがザクの言葉内にあったナルトの発言をキンはわざわざ訂正する。だが彼女の一言は火に油を注いだらしく、ザクは益々声を荒立てた。
「うるせえ!意味は同じだろうがっ!!大体、答えなんて解り切っているじゃねえか!!」
「解り切ってる…?どういう意味だい?」
それまでひたすら黙していたドスが唐突に口を開いた。突然の彼の問い掛けに狼狽するものの、ザクはすぐさま自信に満ちた顔で返事を返す。
「『大蛇丸様の許に戻る』という答えに決まってるだろ―が!!」
あまりにも確信めいた返答。ザクの答えを耳にして眉を顰めたドスは、もう一人の班員の様子をひっそり横目で窺う。
「なぁ?」
同意を求めるかの如く視線を向けてくるザクから、キンは思わず顔を逸らした。なぜかは解らぬが、大蛇丸を盲信するザクを見ていられなかった。彼女もまた、大蛇丸に対し僅かながら疑心を抱き始めている。
尤もドスと違って彼女の場合、あのうずまきナルトが持ち掛けてきたため、彼の話に心が揺れ動いているのである。
キンの心にまず変化を齎したのは多由也だった。うちはサスケ含む木ノ葉第七班を襲い、返り討ちにされ掛けた時、見計らったかのように彼女は来た。
多由也の実力を、同じ女であるキンはよく知っていた。元々、音隠れの里には女が少ない。故に当初キンは必然的に同じ女性である多由也と親しくなろうとした。結局すぐに彼女の性格に辟易して距離を置くようになったが。
音忍四人衆の一人に選ばれるだけあって、自分より遙かに強い多由也。だが同時に彼女の一癖も二癖もある厄介な性格をキンは把握していた。大蛇丸以外には気が強く、超毒舌な多由也。そんな彼女が、突如として現れたうずまきナルトに従っている事が驚きだった。
だからだろうか。ナルトの前では素直になる多由也
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