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万華鏡
第五十二話 文化祭のはじまりその六
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「ちょっと」
「そうよね、日本で一七〇ある人あまりいないから」
 女性ではだ。
「女の人だとね」
「そうですよね、普通に一緒にいても高いですよ」
「街にいても」
「一説には一七五あったそうよ」
 若い頃の身長測定の結果だという。
「それだけあったらね」
「普通に大きいですよね」
「一七五とか」
 今の日本でもそうだ、それだけあれば。
「特撮ものの主人公にもなれますよ」
「何の問題もありませんよ」
「それじゃあやっぱり」
「ヒトラーは」
「何で小男だったのかしら」
 首を傾げさせてだ、部長はこんなことも言った。
「それだけあったのに」
「多分軍人の人達がもっと大きかったと思います」
 ここでこう言ったのは里香だった。
「ヒトラーっていつも軍人に囲まれてましたから」
「作戦会議とかでよね」
「はい、軍人の人達は大きい人が多いですから」
 栄養が行き届き常に鍛えている、しかも入隊時に身体測定が行われ小柄な者は採用されないこともあるからだ。
「ですから」
「それでなのね」
「ヒトラーが普通の背でも周りの人が大きいと」
 それでだというのだ。
「小柄に見えますから」
「そういうことなのね」
「多分軍人の人達が陰口でそう言っていたと思います」
 ヒトラーを髭の小男と、というのだ。
「あとチョビ髭の伍長っていう仇名も」
「そっちの仇名もなのね」
「そうみたいです」
「ううん、そうなのね」
「それとヒトラーは」
 今度は里香の方からヒトラーの話をした、この人物にまつわる逸話は多い。それも歴史に名を残しているせいであろうか。
「菜食主義者で」
「生肉に食らいついてるイメージだけれどね」
「それが違ったんです」
「菜食主義者だったのね」
「お肉もお魚も食べなくて自分が食べるお料理にラードも使わなくて」
「徹底してるわね」
「あとお酒も煙草もしなくて」
 里香はこのことも話した。
「女性関係も清潔で」
「生活は真面目だったのね」
「そうみたいです」
「意外ね、やりたい放題やってたイメージあったけれど」
 部長はヒトラーをそうした人間だと思っていたのだ、何しろ自分に全権を集めていた独裁者であったからだ。
「私生活は真面目だったのね」
「趣味は読書と音楽鑑賞ね」
「そっちも地味ね」
「毎日明け方までお仕事をして少し寝るだけでまたお仕事で」
「うわ、嫌な生活ね」
 部長はこの話を聞いてこう言ったのだった。
「そんなの絶対に嫌よ」
「そんな生活したら身体壊すよな」
「そうよね」
 美優と景子はヒトラーの仕事ぶりのことを聞いて話した。
「朝まで起きて少しだけ寝てまた仕事とかな」
「無茶よね」
「遅くとも九時には起きてお風呂で疲れを取ってね」
「それじゃあ取れない
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