第五十二話 文化祭のはじまりその四
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「そうしています」
「まあね、今時脱色位はね」
「普通ですよね」
「ええ、私も脱色したりするから」
部長もだというのだ。
「時々ね」
「先輩元々茶色い髪ですよね」
里香は部長の髪の毛を見て言う、丁度拭き終えたところだ。
「そこからさらにですか」
「脱色したりするのよ」
「茶色からさらに脱色ですか」
「そう、そこから染めたりもするのよ」
八条学園では髪の毛を染めることも校則で許されている、だからそうしたことも一向に構わないのだ。だから部長もするのだ。
「金髪とかね」
「そうなんですか」
「気が向けばね、黒にも染めるわよ」
「黒もですか」
「黒髪も好きなのよ」
それでその色にもしているというのだ。
「そうなの」
「そうだったんですか」
「黒髪いいでしょ」
部長はにこにことして里香に話す。
「私昔から好きなのよ」
「あたしは茶髪に憧れてそうしてたんですけれど」
美優はその首を少しかしげさせて部長に言う。長身の彼女から見れば小柄な彼女は見下ろす感じになっている。
「先輩はそっちですか」
「そう、黒髪にね」
憧れているというのだ。
「だから染めたりするのよ」
「そうなんですね」
「つまり人間は自分が持っていないものに憧れるのよ」
これが部長の言う結論だった。
「それで私は黒髪に憧れてね」
「あたしは茶髪になんですね」
「そうよ、けれどあんたの黒髪って」
やや波がかった長い黒髪をポニーテールにしている、その黒髪を見て言うのだった。
「いい感じね」
「そうですか?」
「ええ、いいと思うわ」
部長は美優を見上げつつ話す。
「まあ背はいらないけれどね」
「小柄萌えですね」
「女の子は小柄な方がいいからね」
だからこちらは全く羨ましいと思わないというのだ。
「だからいいのよ」
「そうですか」
「声優さんなんか小さい人が多いのよ」
「その話聞いたことがあります」
彩夏が部長に応えてきた。
「あの業界一五五ない人が多いんですよね」
「一五〇ない人も結構ね」
多いというのだ。
「私位の背の人も多いわよ」
「そうなんですか」
「一六五超えてる女の人は稀よ」
「まあ実際も日本人の女の人でそこまである人は少ないですけれど」
「小柄な人が多いわよ」
女性声優にというのだ。
「本当に私位の背の人がね」
「どうしてなんでしょうか」
「声のせいじゃないの?」
部長はここでこう言った。
「それでじゃないかしら」
「声ですか」
「声が高いと小柄な人が多いのよ」
「じゃあ低いと背が高いんですね」
「声域で言うとソプラノの人は小柄なのよ」
ソプラノは高い声域である。
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