暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代
第29話 クリスマスゲーム開始

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 ――来たるクリスマス・イブ。

 沢芽市のとある倉庫街に、光実、戒斗、初瀬、城之内、咲は集合していた。

 そして、これは咲と光実しか知らないことだが、物陰には紘汰とヘキサが隠れている。
 彼らは他のチームリーダーの目を盗んで別途“森”に侵入する手筈になっている。


「何故このガキがここにいる」

 試合開始直後のジャブとばかりに、戒斗は咲を睨み、咲も戒斗を睨み返した。

「いちゃ悪い? あたしだって、ルーキーだけど、1コのチームのリーダーよ」
「僕が呼びました。彼女もビートライダーズですから。あなたのおかげで」

 戒斗は小さく舌打ちした。咲とのインベスゲーム初戦を思い出したのかもしれない。

 それにしても今の光実の笑顔は黒かった。ヘキサも怒らせると怖いが、今の光実はもっと怖かった。さすが兄妹。

「全員揃いましたから、ゲームを始めましょう」

 光実が戦極ドライバーを出した。彼に倣って、戒斗、初瀬、城之内、そして咲もドライバーを出す。
 誰から変身してもおかしくない――一触即発の空気を、

「Attends!! ちょおっとお待ちなさい!」

 流暢なフランス語とオネエ言葉がぶち壊した。


 凰蓮・ピエール・アルフォンゾは歩道橋の上から、意味もなくアクロバチックな宙返りを決めて降り立った。

「こんな楽しそうなイベントにワテクシを呼ばないなんて、一体どういうことかしら?」
「どうしてあなたがゲームのこと知ってるんですかっ」

 凰蓮はスマートホンを出した。液晶にはDJサガラのネットラジオが映っている。内容は、咲たちトップランカーのビートライダーズによる「新しいゲーム」について。
 それはもうこれ以上ないくらいに、光実が呆れてしまうほどに、盛大に暴露されていた。

 問答はあったが、結局は凰蓮もゲームに参加する運びとなった。



 仕切り直してテイク2。
 全員がそれぞれドライバーを装着し、錠前を出し、バックルにセットする。

『変身!』

 ブドウ、バナナ、ドングリ、マツボックリ、ドリアン、ドラゴンフルーツのアームズが、空に開いたチャックから現れ、それぞれの装着者の頭に落ち、ビートライダーズを鎧った。

 彼らの行動は速かった。即座に自分のロックビークルを展開し、バイクに変形したそれに跨り、エンジンを噴かす。
 バロンが、ブラーボが、黒影とグリドンが次々に花型のチャックに突入して行く。

『咲ちゃん、後ろに乗って!』
『うん! ――えいや!』

 月花が後部に跨るや、ローズアタッカーは走り出した。

 バイクにも乗ったことがない月花は、予想以上のツイストランに堪らず龍玄の腰に強くしがみついた。
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