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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos11再臨・遥かなる夜天を支える翼〜Advent: Sch?ner Ritter〜
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フェンリル。・・・本音を言えばマスターの為にじゃなく、この世界の為に戦ってほしいんだけど・・・」

「嫌です! わたくしの力を恐れ、討伐しようとした者共の血統の力になるなど。わたくしは、アトリ様――貴女さまだからこそ、この力を使っているのです!」

わたくしが抱えているのは1人の女性、アトリーズ・セインテスト・アースガルド。両前腕・両足を凍結粉砕されたという惨たらしい姿。短くも艶やかで美しかった銀の髪もまた所々が凍り、紅と蒼の瞳は虚ろで、わたくしを視界に捉えているかも怪しい。
砕かれた部分から徐々に全身へ回って行く凍結。このままでは胴体、頭部にまで凍結が侵食していく。わたくしのルーンで解除しようとしても、この凍結魔術の前に無効化されてしまう。憎くて仕方ないけど、さすがは現在において最強の魔術師と謳われているシルヴィア・プレリュード・ヨツンヘイムの魔術。EXランクの氷雪系魔術は伊達ではないということだ。

「そう言うと思ったから今まで言わなかったのよ。でもこうしてあなたを残して死んでしまうことになった今だからこそ・・・お願い。あたしの生まれ育ったあの世界、アースガルドを護って、フェンリル」

「貴女さまが居なくなったアースガルドなどに興味はありません!」

わたくしの全てはアトリ様の為に。アトリ様こそ至上。アトリ様が居ないのであれば、アースガルドが滅ぼうが、このままわたくしが死のうが一向に構わない。

「・・・・ねえ、フェンリル。いつか、あたしのようにあなたに笑いかけてくれる人が現れて、そしてあなたの力を求めたら、その時はその人と一緒に戦って。お願い、フェンリル。あなたの初代マスターとしての最期のお願い・・・、ね」

「アトリ様ぁぁぁーーーーーーっっっ!!!」

そして凍結が全身に回り、アトリ様は粉々に砕け散った。



「――っ、アトリ様・・・! ・・・・・・エインヘリヤルが夢を観るなんて・・・」

ガバッと体を起こして周囲を見回して、ここが戦場じゃなくてマスターの部屋であることを確認。汗で顔に張り付いた前髪を払って自嘲気味に苦笑する。夢に観たのは私のかつての主、アトリーズ・セインテスト・アースガルドの死に際。大戦が始まってから400年後、セインテスト王家から輩出された魔術師。私が初めてマスターとして認め従い、心より敬い、慕い、愛した女性。

(はやてに、かつての主とかそんなことを話した所為か・・・)

私が話したかつての主と言うのがルシリオン(オーディン)のことだってはやては勘違いしてたけど、実際はアトリ様のことだ。アトリ様が亡くなってからは戦場や人目のある場所を離れ、住処としていた洞穴に閉じ籠った。そしてマスターと出逢うまでずっとそこから出ることはなかった。

(私はオリジナルのフェンリルじゃな
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