十五 交渉
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
にも予想出来ないわ…。あれほど『聡明叡智』という言葉に相応しい子どもはいない…。末恐ろしいわね…」
大蛇丸の言葉には暗に、『天を仰ぎて唾(つばき)す』という意味が込められている。ナルトに害を与えようとすれば、かえって己の身が危険に陥ると。
腹の内の探り合いを思わせるような遣り取りが一瞬途切れた。
真剣な面持ちで口を噤んでしまった大蛇丸に、カブトは差障りのない話を訊ねる。
「…ドス達はどうなさるおつもりです?裏切りでもしたら…」
「捨て置きなさい。あの程度の忍び、どうってことないわ…。私の許から逃げようが、木ノ葉に寝返ろうが知ったことじゃないわよ」
「…サスケ君はよろしいのですか?」
何の前触れも無くカブトはサスケの名を挙げる。まるで大蛇丸の反応を確かめるように。突然話題を変えたカブトに対し、大蛇丸はくっと口角を上げてみせた。
「物事を発生させるには何事も種が必要よ…。植物しかり、争いしかりね…。種は仕込んだ――それで充分。今は、まだいいわ…」
『今は』という言葉を強調して、大蛇丸は囁く。その口調はまるでカブトを試すかのような物言いである。
大蛇丸の言う種とは、サスケに与えた『呪印』を指しているのか。それとも他に何かあるのか…。
懐疑的な態度を隠しもせず、カブトは大蛇丸の強い眼光に負けじと目を合わせた。そして、ふっと笑みを浮かべる。
「いつになく慎重でいらっしゃいますね?ナルト君がそんなに気掛かりなんですか?」
「……全く!鋭い子ねぇ…。その通りよ。今のところは中立の立場だけど、これから先どう転ぶかわからないしね…。いくら私でも彼と敵対するのはお断り…。念には念を、と思ってね…」
腕を組み直しながら、大蛇丸は言葉を続ける。彼の顔色を窺っていたカブトの額からつうっと汗が滴り落ちた。
ここにはいない金髪の少年にあの大蛇丸がこれほど敬畏を払う。
大蛇丸以上に至高の存在なのだと改めて思ったが、そうとは表情に出さず、彼は大蛇丸の顔を覗き込んだ。双眸を閉じた大蛇丸は沈黙を貫いている。
会話が途切れ、辺りは静寂に包まれた。大蛇丸の表情から、もう自分に用は無いのだと察したカブトがついっと背を向ける。
だが唐突に後ろから声をかけられ、彼は足を止めた。
「カブト…。忠告してあげるわ…」
感情の窺えない静かな声がカブトの身を再び硬直させる。大蛇丸の真剣な眼差しを背中に受け、何を言われるのだろうかと彼は身構えた。金縛りにあったように直立不動の姿勢をとるカブトを見て、大蛇丸は口元に弧を描く。
「ナルト君にちょっかい出すのは止めておきなさい。お前じゃ彼には敵わないわよ…。強いと言っても、カカシと同じ程度じゃねぇ……」
大蛇丸と別れたカブトは主人の言葉に反して、ある場
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ