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迷子の果てに何を見る
第三十四話
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もし勝手な行動に出たら補習だからな」

先に釘を刺す。これはこのクラスを扱う上で最も重要な事だ。

「わかったアル(でござる)」

「よろしい、なら3点目だ。1週間後にメンテナンスに伴う大停電があるのは知っているな。まだ時間はあるから準備だけはしておくように。あとテストまで今日で1ヶ月をきる事になるが、こちらも準備を怠るな。連絡事項はこれだけだが何か言っておきたい事がある奴はいるか」

これは許可なく色々な騒動を起こすこのクラスの予防線を張る為に重要な事の一つだ。ここでこういう事をしたいんですけどと言われたらオレはその内容を吟味して許可、不許可(この場合は妥協案の提示も行なう)を出すことで出来るだけ、出来るだけ迷惑をかけない様にする。心構えがあるだけでだいぶ違う物だ。

「はいは〜い、放課後にアリスちゃんの歓迎会をしたいと思うので教室の使用許可を」

「許可する。後片付けはちゃんとする様に。他は」

「一応先生にもいくらかカンパしてもらえると助かるんだけど」

「半分は出してやる。領収書を忘れない様に」

「やりぃ〜」

「他は……無いようならこれでSHRは終わりだ」

オレが教室を出るとクラスが騒ぎ始める。まあ、これぐらいは許容できる範囲だ。放っておこう。



side out





side アリス

「おい、その姿はなんだ」

席に座ると同時に千雨さんに小声で質問されます。魔法側の話もあるので認識阻害の結界を瞬時に張ります。それを見た師匠はできるだけ話を長くするべく動いてもくれています。

「これからの事を考えて修行をつけてもらったんです。今は卒業試験の途中なんですが、こればっかりは魔法球の中に籠っていても答えは出ないだろうから、一度学生生活を送ってみたらどうかと言われまして」

「ファミリネームが違うのは」

「話したと思いますけど私の兄が送られてきた時に他人で居たいからです。幸い私は母親似、あいつは父親似ですから成長してしまえば問題はありません」

「そっか、卒業試験てのは」

「私の目的である村の人たちの石化を解く事なんですけど、これがなかなか厄介でして石化が強力すぎて魔法薬では理論上無理なのでアーティファクトを作っているんですが、今度は逆に強すぎて封印指定を受けてしまって使用できないんです。まあ、この命を捨てれば助ける事が出来るんですが」

「そんなことするなよ」

「分かってますよ。そんなことしたら師匠達に魂まで消されますから。まあ、師匠が言うには答えは結構簡単で逆転の発想が必要だと聞きましたから」

「逆転の発想ねえ……アーティファクトを使い捨てにするとかどうだ」


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