第百四十九話 森の奮戦その十四
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森は遂に長政と会った、正面から会ったその瞬間にこう言い合った。
「よくぞ生きておられた!」
「よくぞ来て頂いた!」
こうだ、共に言ってだった。
彼等は馬を進め合い傍まで寄り合ってだ、今度はこう言うのだった。
「これで、ですな」
「はい、宇佐山城は陥ちませぬ」
森はにやりと笑って永正に応える。
「猿夜叉殿まで来られれば」
「そう言って頂き何よりです、では」
「はい、今よりですな」
「城に戻りましょう」
その宇佐山城にだというのだ。
「そうしましょうぞ」
「そうですな、それでは」
こう話してだ、合流した彼等は宇佐山城に入ったのだった、そしてその城の中に入るとすぐにだった。
森は長政に門徒の軍勢の話をした、長政もその話を聞いてすぐに神妙な顔になり森に対してこう答えたのだった。
「実はです」
「まさか猿夜叉殿の軍勢も」
「はい、一向宗とは思えぬ」
「強い者達と戦われましたか」
「刀や槍が多く」
そしてだというのだ。
「鉄砲や弓矢も持っています」
「どれもでしたな」
「はい、多く持っており」
そしてだというのだ。
「その動きもです」
「忍の者の様でありましたか」
「その通りです、まさか」
ここで長政も気付いた、森の話から。
それでだ、頷いてこう言うのだった。
「そこまでとは」
「そっくりだと」
「我等が戦った者達と」
まさにだ、そうだというのだ。
「妙なまでに」
「では灰色の衣も旗もですな」
「その者達が確かに多いですが」
しかしだった、ここでも。
「ですが鉄砲なぞを持っておるのはその者達で」
「灰色の衣の、一向宗の色の者達は」
「ええ、鍬だの鋤だの鎌だのを持っていて」
「然程強くもなく」
「紛れもなく百姓でした」
「坊主共の言うこともあって」
それでなのだった、彼等は。
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