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第三十二話 共犯者
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る。いやむしろ、普通に考えて女子の中に男子が紛れるほうが辛いよね? そう思って泣きやんだあとによくよく話を聞くと、織斑君が『一緒に着替えよう』とにじり寄ってきたり『裸の付き合いって大事だぜ』と言って大浴場に連れて行こうとしたりして大変だったらしい。
織斑君……千冬さんは否定してたけどもしかして本当にそっちの気が……いやいや。
デュノアさん曰く、サッパリした性格の彼のことは好ましくは思っているもののちょっと怖かったそうだ。ちなみに泣いてしまったのはそれが原因ではなく、誰にも話せないせいで追い詰められていて、こうして話したことで緊張の糸が切れてしまったとのこと。
そもそもあの時間に浴場に入ってきたのは部屋のシャワーを使うのも少し気が引けたからだったらしい。立ち入り禁止の札があれば誰も入っていないと思ったら僕がいた、という訳だ。
デュノアさんが落ち着いたのを見計らって、これからのことを煮詰める。
まず、デュノアさんは生徒会へ所属する。事情を知っている以上、巻き込んだほうがむしろ安全かもしれない。亡国機業のこと、危険を伴うことも話したうえで了承を貰った。友達のために協力するのは当然、と恥ずかしがりながら話す姿に僕も思わず泣きそうになった。楯無さんがニヤニヤして見てたから泣けなかったけど。
僕ら二人のことについては当然ながらこのまま隠し通す。
デュノアさんに関しては、僕らや千冬さんは最初から疑ってかかっていたけれど、それ以外にはどうやら自然と受け入れられているようだ……信じがたいことに。こうして見ると、やっぱり完全に女の子だとわかるんだけどねぇ。
で、一番不安な今後の部分に関しては……。
「そのままだと男子には見えないし、いずれバレちゃうわ。ここにアカデミー賞ものの先生が丁度いるんだし、いろいろ教えてもらいなさいな」
ということらしい。その言葉は非常に不本意ながら、確かに男の僕が気を付けるべきことを教えてあげればそれだけリスクは減ると思う。今回は……まぁこういうイレギュラーが起こったんだけど、ね。
結局、生徒会へ入った折に僕が職務指導する立場になることで一緒に演技指導をすることになった。
どうなることかと思ったけれど、ひとつ大きな問題が解決に向かう。もちろんデュノアさんの問題が継続する訳だけど、得たものは二人にとって大きい。
僕にとっては楯無さんに続いて二人目の、そして彼女にとっては初めての、この学園での共犯者だ。
あ、千冬さんにも事情を説明しないと……はぁ。
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