第47話 「できる事と、やりたい事と、やるべき事」
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て、銀河帝国、帝国宰相の両手は銀河の端から端まで届く。
ゆえに悩んでおられる。人間らしい感情の揺れだ。
それがかえって人の心に訴える。この方のために動こうと。
だからこそ平民達は恐れている。皇太子殿下が怒りに燃え、自ら戦場に立たれようとするかもしれないと。
「不思議よな。貴族どもは安全なところで偉そうにしているだけだと、平民達からは思われていように。戦場に出ないでくれと懇願される。そんな皇族というものが存在しようとは」
「そんなお方は、銀河でただお一人。皇太子殿下以外にはおられませぬ」
財務尚書のゲルラッハがはっきり言う。
わしもそう思うわ。
辺境開発。
農奴解放。
教育問題。
人口増大策。
経済問題。
規制緩和。
権利拡大。
法改正。
税制改革。
問題は山積みではあるが、そのどれもが動き出している。
その上、まだ貴族のみだが、議会が開かれた。
平民達の要望も訴える場ができたのだ。
平民の代表者が、各貴族領で意見を纏めだしている。不満はかなり抑えられているのだ。
「意見を聞かないとは言っていない。まずは不満を言うよりも、意見を纏めろ。ですか?」
「皇太子殿下にそう言われては、まず不満は平民達の代表者に向かっている。意見を聞いてくれとな」
「平民の代表者達が、頭を抱えているようですが……」
「致し方あるまい。しかし文句の言いようもない」
自らの念願が叶ったのじゃ。ただおもしろい事に、辺境の貴族達が税収の中から、優秀な若い者に対して、学費を出してオーディンの帝国大学に通わし、政治や経済を学ばせ出しておるようじゃ。
選ばれた者たちが、必死になって学んでいるようだ。
皇太子殿下の懸念を聞かされたらしいしのう。
「中央と辺境の教育格差ですか?」
「うむ。その通りじゃ。このままではいかんと、必死になっておるわ」
「次の世代。次の次の世代。それらが芽を出し始めているのは結構な事ですな」
「その上、負けてはなるまいとブラウンシュヴァイクやリッテンハイムなども、領内の者に対して金を出して通わせ出しているわ」
貴族も必死。平民も必死で帝国の未来を考えておる。
これまでなかったほど、貴族と平民の関係はうまく行きはじめている。
「人が集まりだしましたな」
「これからは貴族も、うかうかしていられぬ」
「それにしましても、これまでは平民が身を立てようとすると、どうしても士官学校を目指していたものですが、文官を目指す者が増えてきましたな」
戦後じゃ。平民達ですら戦後を考え出してきた。
戦争は終わる。しかも帝国が勝って終わる。いまだなんとなくではあるが、平民達の間でも、そのような共通認識が生まれだしている。
百五十年近く続いた戦争
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