ターン34 鉄砲水と完全なる機械龍
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『いや、まさか、あれ………』
そう震え声のユーノが呟いて指さすのは、サイバー・エンドの首ではない。
『おいおい、ちょっと待てよ、まさかリミッター解除だけじゃなくて、あっちまで持ってたってのか……?』
ユーノが指差しているのは、首の向こう側に広がる胴体。普段は機械でできた羽があった部分。あった、と過去形なのには訳がある。今その位置に生えているのは機械の翼なんかじゃない。あれはもっと生物的な、一言で言い表すなら…………天使。
そしてその向こうから、カイザーの声が聞こえてくる。
「ありがとう、清明。やはり卒業デュエルの相手にお前を選んで正解だった。お前がそうやって俺の限界以上の力を使い俺を超えてくるからこそ、俺はさらにその先へゆき、もう1つ限界を突破することができる」
「すごいよ、やっぱりカイザーはものすごい。これ以上ないくらい最高に決まったのに、まだ奥の手があるんだもん」
「これ以上ないくらい、か。そうやって自分の限界を決めつけるものじゃない。それが俺からの、卒業生として贈る言葉だ。ダメージステップ。手札からオネストを墓地に送り、サイバー・エンドの攻撃力をお前の霧の王の数値、17800ポイントアップさせる」
『いくらメタル化が数少ないオネスト相手にも後出しで攻撃力を上げられるカードとはいえ、リミッター解除と組み合わされたら上昇値が追いつかねえぞ………ま、カイザーらしいといやカイザーらしいし、清明らしいといや清明らしいのかね』
霧の王 攻17800→26700→サイバー・エンド・ドラゴン 攻16000→33800
清明 LP1000→0
チャージが完了した。動けない霧の王にゆっくりと最後の首が照準を合わせ、そこから霧の王に巻きついた自分の首ごと消し尽くさんと光線を撃つ。もう奥の手なんて残ってない。僕のライフは、0になった。
「負けちゃった、か」
『そだな』
ふー、と息を吐くと、こちらに近寄ってくるカイザーの姿が見えた。試しにおーい、と手を振ると向こうも振り返してくる。そんな光景が、なぜだがおかしかった。
「先ほども言ったが、改めて礼を言わせてくれ。いいデュエルだった、ありがとう」
「ありがと、カイザー。こちらこそ、楽しかったよ」
「ああ、そうだな」
そう言って、カイザーがすっと自分の右手を差し出す。その手をぐっと握り返してちょっと笑うと、カイザーも少し笑みを浮かべた。観客席にいるみんなの拍手をぼんやり聞きながら、なにはともあれ僕は幸せなけだるさに包まれていた。
こうしてカイザーは、デュエルアカデミアの皇帝は学校を去っていった。だけど、またいつかきっと会えるだろう。そうしたら、今度こそ僕が勝とう。その時までにもっともっと強くなって、最終的にはデュエルキ
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