第三章
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第三章
「おい、これ」
「あん!?どうした!?」
俺の声に皆起き上がってきた。どいつもこいつも俺も含めて酒臭い。
「昨日の手紙だけれどな」
「ああ」
「えらいものだぞ、これ」
「どうしたよ」
「やっぱり不幸の手紙か?」
「だから何でそうなるんだよ」
俺はベースの言葉に少しムキになった。
「違うよ」
「じゃあ何なんだよ」
「そうよ。かえって気になるぜ。言ってくれよ」
「ラブレターだよ」
「っておい」
皆それを聞いて一発で態度を変えてきた。
「それかよ」
「またえらく凄いものもらったな」
「ああ、それでな」
俺は皆に対して言う。
「付き合って欲しいって。電話番号まで書いてある」
「そこで返事して欲しいってことだな」
「多分な」
「それでどうするの?」
他のバンドから引き抜いてきたドラムが俺に尋ねる。そういえばこいつには仲間にならないと山に埋めるぞと脅したのを覚えている。
「いいの?駄目なの?」
「おい、待てって」
何か急かしてきたのでそれを止めた。
「とりあえず俺今フリーなんだよ」
「ああ、御前別れたんだったな」
リーダーがそれに言及してきた。
「この前」
「ああ。だからな」
別に断る理由はなかった。
「とりあえず話だけでも聞いてみるさ」
「ああ、それがいい」
「そういうことだな。じゃあそれでな」
「決まりか」
「会うだけはな」
付き合うとはこの時は決めてはいなかった。
「会ってみるさ」
「わかったよ。じゃあ後で結果教えろよ」
「付き合うのかどうかな」
「楽しみにしてるぜ」
俺と同じ歳のリーダーと髭、ベースが俺に言ってきた。
「兄貴って何か女の子絶えることないね」
「それが人徳ってやつさ」
弟には笑ってそう返した。
「人徳、ねえ」
「何だよ」
後輩はジロリと睨んでやった。
「文句あるのかよ」
「いや、それは」
「じゃあ後でな、話すからよ」
「期待してるよ」
ドラムが声をかけてくれた。グループじゃ多分こいつが一番性格が優しい。けれど何処か損をするタイプなのでそれが心配だったりする。
「ああ、そういうことでな」
こうして数日後俺は彼女と会うことになった。場所はある喫茶店だった。
何か早く来ちまった。白い店の中に何か西鉄ライオンズの旗とかがかけてあった。それを見てるとガキの頃に戻った気がした。
「まだあったのかよ、こんなの」
西鉄の選手の写真もある。俺がガキの頃に身売りされて後は流転しちまった。遂には埼玉の方に行っちまった。それが何か寂しくて仕方がなかった。
「よくもまあ残してあるな」
写真を見ながら思った。それでテーブルに座った。暫くして彼女もやって来た。
「あ、あの」
おどおどした様子で俺に声を
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