第3部:学祭2日目
第11話『猛撃』
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てくれ。実は気になる人がいて……」
「桂言葉さん?」
曽我部は、彼女のことを知っているようだ。
「どうして知っているんですか?」
「田井中さんから聞きました。胸が大きくて、田井中さんはちょっと気にくわないって、言ってたんだけど……」
「律のことはいい。桂の住所はあとで送っておくから、助けてやってくれないか。
こいつらに狙われているんだ」
言い終わらないうちに、澪は走り出した。
幸い、住所は最初のアドレス交換の時、一緒に登録されていた。
鼻と目のあたり、それがまだ痛んでおり、口からも血が流れているが、そんなの気にしている場合じゃない。
そして、澪ファンクラブの人と、七海の手下が1対1でもみ合っている間に、間を縫って突破し、言葉の家へと急いだ。
曽我部と一部の会員達もあとからついて行く。
「そう言えば秋山さん」曽我部が、「木下さんと立花さん達が学祭に行った後、『止さん、よすぎる』とフラフラしながら桜ケ丘に戻ってきたんですがね。
その止って男に襲われた可能性が高いのですが、何者なのか、秋山さん知ってます?」
止!
澪の中で、ぞっとするものが走った。
桜ケ丘の子も狙われたのか……。
「……いや、知らない。とりあえず、まずは桂を助けることに集中しよう」
澪は、それこそ一心不乱に走りだしていた。
考えないようにしたかった。
言葉は、その日は早起きした。
両親は仕事で早く出かけてしまい、妹の心と2人きりになっていた。
十八番のレモネードを作り上げ、メタリックの500ml水筒に入れる。
「いよいよだね、お姉ちゃん」
からかい半分に、心が言葉に声をかけてきた。
「本当なら昨日、あのまま誠君と一緒に過ごしたかったけどね。でも、今度は大丈夫」
昨夜こそ多少落ち込んだものの、言葉はしっかりと自信を取り戻していた。
「心、カメラの準備はできてる?」
言葉は穏やかな顔で尋ねる。
「大丈夫だよ。これでお姉ちゃんと誠君が踊っているのを、キャンプファイヤーをバックに撮ればいいんだよね」
「そうよ。ずいぶん後になるけど、大事だから。ありがとう」
安堵の微笑みを浮かべる言葉。そのままきらびやかな玄関に行く。
「誠君、また平沢さんにフラーっと目移りしてないといいんだけどなあ」
心は、心配げな表情。
「大丈夫。先手必勝。多分あの子は朝起きれないし、家も私のところよりは遠いから。」言葉は唯のことをあまり知らないが、勘で話をする。「先に誠君ちに行った方が勝ち。」
「だといいんだけど……」
その時、言葉の白い携帯から、音のしない振動がする。
「誠君からだ。……え……?」
うきうきしながら携帯を取った言葉の顔が、青ざめてゆく。
誠からのメールには、こう書いてあった。
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