第3部:学祭2日目
第11話『猛撃』
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「ま、ここでは人目につくから、こっちへ来なよ」
リーダーに襟首をつかまれて起こされ、引きずられ、連れて行かれる澪。
鼻を強く打って、血が出ていた。携帯も道端の道路に転がる。
「く……桂……!」
1人の桜ヶ丘生徒が、それを目撃し、あわてて横に引っ込むのを、澪はみてとった。
小さな川の、人気のないところ。
コンクリートの間に雑草こそ生えているが、それでもコンクリートの灰色が目立つ。
そのほとりに、澪は連れて行かれた。
草っぱらにほおり投げられ、皆からのヤクザキックをドッドッと受ける羽目になった。
「桂から手を引かなければ、ずっとこの調子だからね」
リーダーが見下すような視線で、澪に吐き捨てた。
「ぐっ……! 気になる人に気を使って、何が悪い……!!」
澪は歯ぎしりしながら、呟くように言い返す。
最初は手足を使って懸命に抵抗していた彼女だが、いかんせん多勢に無勢。
無茶苦茶に頭や横腹を踏みつけられ、蹴りつけられているうち、頭もぼんやりとしてきた。
言葉から手を引いた方がいいか。
そんな思いがもたげそうになった時。
第三者の声がした。
「貴方達、何してるの!?」
皆、そちらを向く。
15人ぐらいの女子生徒が、そこにいた。全員紺色の上着に胸元にリボンという、桜ケ丘の学生服。
「あんた達、何者かねえ。これはこっちのことなんだ。部外者はちょっかい出さないでもらいたいな」
いじめっ子のリーダーが片方の眉を上げて言うが、
「そうはいきません! 私達はこの人のファンですから!」
茶髪でロングヘアー、ややつり目のファンクラブの会長が、ずいっと進み出た。
後の皆は数に任して、4人しかいない榊野生徒につかみかかる。
ぐいぐいと押し合いへしあいだったが、そのうちに榊野生徒が倒され、ファンクラブの部員がそれを抑えつけるという形になった。
「秋山さん、大丈夫ですか!?」
その隙に、澪ファンクラブのリーダーが、土にまみれた澪に駆け寄った。
「曽我部さん、ありがとう! 大丈夫だと言いたいところだけど……。
それにしても、元生徒会長の貴方がファンクラブの一員だったなんて」
よろよろと、制服についた土埃を手で払い落しながら、澪は立ち上がる。
制服は土だらけだし、顔もところどころ蹴られて、右目のあたりも痛い。
「あはは、恥ずかしいけど会長なのよ。
秋山さん、目にあざが……。それにしても榊野って、ずいぶん荒れているのね。統合しちゃったらどうなるか不安だわ……」
「あははは……まあね……」
パンパンと衣服に付いた土を洗い落とし、曽我部から携帯をもらった。
もみ合っているファンクラブメンバーと七海一派を見て、
「そっちが片付いたら、私のところについてき
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