第3部:学祭2日目
第11話『猛撃』
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は少し考えてから、「それで軽音部がめちゃくちゃになってもいいの?」
「は……?」
「伊藤には伊藤の、桂には桂の思いがあるんだし、平沢さんや秋山さんだって、あの2人のことが好きなんでしょ。」
「うん……」
「ならば私達で、お互いの思いをなだめる必要があるでしょう。あの2人が暴走しないように……」
「こっちはすでに暴走してますけどね……」
「ならば、それを止めるようにしないと」
「もう遅いです」
「そうかなあ。……とりあえず、平沢さんや秋山さんはどこ行ったの?」
「わかりません」
「そうだよね……。でも、多分榊野には来ると思うんだ。私は世界の面倒を見なくてはいけないけど、先に榊野で待っていてほしい。
じゃあ、後でね。」
刹那は相変わらず、淡々とした声。
梓は、何も答えなかった。
その後、刹那は檜の棚から、ガイドブックを取り出して、
「気晴らしに、どこか行こう……」
「……どこにも行く気に、ならないよ……」
「でもまあ、街をぶらぶらしてれば、気分転換にはなると思うし……。どこ行こうか……」
刹那は、ガイドブックを読みながら、
「榊野ヒルズ、行こうよ。世界だって、KARAのうちわやポスターを血眼になって探していたでしょ」
「……」
世界は、ゆっくりと起き上がった。
珍しく、澪は寝坊をした。
「わあ! 遅刻遅刻!!」
休日なので、澪を起こそうとする人もいない。すでに両親は外に出てしまっている。
あわてて学生服に着替え、家を飛び出した。
空はすっかり晴れている。
が、家の前の白い門から出ようとした時、
ドンッ
横からにゅっと足が飛び出て、彼女は転ばされる。
「な、何すんだ!!……!!」
澪は足の出てきた方を向いて、思わず息をのんだ。
4人の女子生徒がいた。
黒い上着に赤いスカーフ、黒いスカートという、榊野の学生服。
皆、血走った目をしているが、1人のセミロングヘアーで、茶髪を後ろで束ねた背の高い女は、何もしなくても威圧感を放っている。おそらく彼女が頭領だろう。
「なるほど、確かに七海さんの言う通り、あのフェロモン女に似てるわ……」
そのリーダーは、答える。
「……あんた達、それは私が、桂と親しくしていることへの仕打ちか」
毒づく澪に、
「まあね」別の短髪で、背の低い女の子が答える。「あんな男受けばかり良い女を、気にするあんたもあんたよね」
「私は……私のしたいことをしているだけだよ……!」
「開き直るのかい?」リーダーがずいっと進んで、見下すような視線で言う。「なら、容赦はしないよ」
「くっ……!」
話が通じないと悟った澪は、何とか正面突破しようと駈け出した。
ガッ
またも足を引っ掛けられ、高転びに転ばされる。
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