第3部:学祭2日目
第11話『猛撃』
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はい」
「ああ、西園寺! ……じゃなくて、清浦か」
携帯から聞こえたのは、甲高い律の声。
「田井中さんですか?」
「ああ、そうだ。実はよ、沢越止って知ってっか?」
「さわごえ?」
「西園寺から聞いてねえのか。要はセクハラおやじでよ、唯がそいつに狙われているのさ」
「……そうなんですか」
低い刹那の声。
「何とかしてあいつを守ってやりたいんだけどよ、あんたや西園寺も手を貸すこと、できねえかあ。唯を応援してるんだろ?」
しばらく、刹那は黙っていたが、やがて口を開いた。
「お断り、します」
「はあ……?」
「私もつかれた。もうこれ以上、平沢さんも桂さんも利したくないんです」
「を、おい! 西園寺は応援してくれるんだろ!? なぜ唯を助けようとしないんだよ!?」
「世界も、もう絶望と言うことが完璧に分かっていて、ショックでまだ立ち直れないんです。いったん落ち込むと、なかなか立ち上がれないし」
「そんなの……」律はすこし考えてから、「じゃ、じゃあさ、梓だけでもちょっと説得してやってくれねえか。」
「中野に?」
自分の気にする相手だったが、口調はあくまで飄々とするようにしている。
「あいつ、もう榊野に行きたくないって、駄々こねてるしさ。何とか清浦の方から、説得できないかねえ」
「見た目通り、子供っぽいんだね……」
「ああ」
「私も以前、背の小ささで子供っぽいとか、からかわれたりしたんだけど、学級委員になったらそんなこと言われなくなりましたよ。見かけによらず臆病なんだ」
「あはは……」律の苦笑いが、耳の中で響く。「そうなんだよね……」
「とりあえず中野と、携帯のデータは交換したよ。できる限りのことはやってみるけど、期待しないほうがいいです」
相変わらず冷たい声。律は苦笑を続け、
「分かった、一応頼みだけは聞いてくれるんだ。それともう1つ」
「ん?」
「伊藤の電話番号、教えてくれねえか? 沢越止は伊藤の親父でな、伊藤はあいつを面倒がってるんだ」
「……悪用しない?」
刹那の声が、急に低くなる。
「しねえよしねえよ。な、伊藤を助けると思ってさ」
「なら、いいけど……」
半信半疑の状態で刹那は、律に誠の電話番号を教えた。
律との電話を済ませた後、刹那は梓に電話をし始めた。
「もしもーし、梓はただ今冬眠中でーす」
けだるげな梓の声。
「今は秋」
「じゃあ秋眠……ってそういう問題じゃないし……って、清浦!?」
「反応が遅い」表情を全く変えずに、刹那は話を続けた。「田井中さんが、沢越止って人から平沢さんを守るように、協力してほしいんだって」
「……さっき律先輩にも同じことをいいました。もう唯先輩のことなんか知らないって、伊藤や桂にも関わりたくないって」
「でも……」刹那
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