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Cross Ballade
第3部:学祭2日目
第11話『猛撃』
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。いつもこぼしてばかりで、だめだよね……」
「ううん……。むしろあの時のままのほうが、唯ちゃんらしくっていいよ」むしろ微笑む唯が、誠にとっては微笑ましかった。「あのさあ……。どこいこっか」
「どこって……。やっぱり学祭でしょう」
 唯は、何をいまさらといったような口ぶり。
「あ、でもまだ学祭あいてないし」
「関係ないよ。マコちゃんと、いろいろな場所を見てみたいんだ」
「……でも……」
 学祭。親父が狙ってくるのは目に見えている。
 多少頭を抱えながらも、片手で近くにあったフリーペーパーをぱらぱらめくり、ピンと思いついて、
「まずはさ、榊野ヒルズに行ってみない?」
「榊野ヒルズ……そう言えば、いろいろと楽しめるところなんだよね」
「ああ、プラネタリウムとか、アクアスクエアとか、いろいろ遊べるところなんだ」
 以前、誠は何回か行ったところのある場所。
 言葉や世界と水泳したのを覚えている。
「どうしようかなあ……学祭前に行くのも悪くないかも」
 単純に考え、唯はOKした。
「じゃ、行くとしますか」
 誠は内心、ほっとする。


 出発する直前、誠は、シルバーアクセのペンダントと七宝焼きのブローチを1つずつ取って、学生服の上着に入れた。
 そのころには、夜が明け、隣のガソリンスタンドにも光がさしている。
 唯は左腕を誠の右腕に組ませながら、うきうきと歩くことになった。

 隣の誠は携帯で、今日の学祭の手伝いを休むことを話している。
 携帯電話から聞こえてきたのは、詰り声。
「頼むよ、中曽根……。ちょっと事情あってさ。
親父が来て、その応対をしなければいけないんだからさ……そこをなんとか、残りのメンバーで頑張ってくれよ。三木や大平も、泰介だっているだろ……。
何、泰介や世界、それに清浦も休み?……世界はともかく、泰介は何やってんだか……。
な、頼む。後で掃除当番でも何でも引き受けるから! ね!!」
 あとの片づけほど、学祭で大変なものはないが、それでも唯ちゃんが親父に手籠めにされるよりはましだ。
 誠はそう、強く思った。

 一方の唯は、気になってしょうがなくなり、
「……休み、もらえた……?」
 誠はすぐに、さわやかな笑顔を唯に向け、
「何とかもらえたよ。ただ、学祭後の後片付けを俺が引き受けることになっちまってな」
「ほんと、ごめんね……」唯は上目遣いになり、「私のために、マコちゃんにずる休みさせることになっちゃって……」
「大丈夫だよ。親父が来たから、その対応をしなきゃいけないというのは、当らずとも遠からずだし」

 唯は昨夜、止がむけたどす黒い目と、あの男が自分の体を触っていたのを思い出す。
「あの人も……来るのかな。」
「あ、ごめん……思い出しちゃった……? 少なくとも今日1
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