暁 〜小説投稿サイト〜
Cross Ballade
第3部:学祭2日目
第11話『猛撃』
[15/15]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
しい。
 着なおすと彼女は、よろよろと立ちあがった。
「あの人たち、誰なんでしょうか……」
「いや、私のファンクラブでね、どうやら律の頼みで、来てくれたらしいのさ」
 澪は、ちょっとバツが悪そうに答えた。
「秋山さん、人気なんですね……」
「いや、まあ、恥ずかしいというか、なんというか……」
 張り飛ばしたり、張り飛ばされたりする澪ファンクラブのメンバーを見ながら、言葉は目をぱちくりさせる。
「その体では、大丈夫とはいえなさそうですね」
 言葉は澪の体を見て、さらり。
「まあね」
 確かに澪の学生服には、ところどころに靴の跡があり、顔もちょっと目の周りが黒くなっている。

「まあとりあえず、まずは伊藤を探さないとな……」
「誠君なら」言葉はメールを開き、「平沢さんと一緒にいるようです。まさかここまで早く誠君ちに来るとは思いませんでした」
 澪は、何と言ったらいいかわからなかった。
「本当なら昨日、あのまま泊まりたかったんですよね」
「そう……」
「あのまま泊まれば、平沢さんに付け入るすきを与えなかった……。お父さん達もお父さん達だけど、平沢さんも平沢さんです」
「……すまねえな……」今は言葉に対し、相槌を打った方がいいだろう。「私も、唯には気の毒だけど、貴方の方を応援してる」
「……」
 言葉は、何も言わなかった。
「あ、メール」
 彼女はごそごそとポケットから携帯を取り出し、内容を見てみる。
「心の話によれば、今誠君が、平沢さんに連れられて電車に乗ってるみたいです」
「唯もいるのか……。わかった、心ちゃんの後を追いかけてみよう」
 よろよろと立ちあがりながら、言葉は駅へと急いだ。
 澪も後から付いていく。
 もみ合うファンクラブの人と、七海一派を残したまま。
「それと、桂……」
「はい?」
 もう、私は手を引いてもいいか?
 と言いたいところ、出なかった。
 もうこれ以上痛い目に合うのはごめんだが、それでは桂がかわいそすぎる。
 どうしたらいいかわからず、澪は心の奥で迷った。
「何でもない」
 結局彼女は、これだけ、答えた。



続く?

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ