第3部:学祭2日目
第11話『猛撃』
[14/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
2回目なのに、何だか慣れてしまったような感じである。
でも……心の奥底に、不安のもやがあった。
「これで2回目だけど……嫌かな。」
「そんなことない……うれしいよ……」
唯のこわばっていた肩が、思わず柔らかくなる。
が、誠は頭を整理しきれず、しゃべっていた。
「あのさあ……こんな俺でも、いいの? 来るもの拒まずで弱くてふらふらしているし、いまだに唯ちゃんか言葉か決められないし、親父があんなんだし」
「そりゃあもちろん! ……どうしたの?」
「いや」誠はふっと目を閉じ、「唯ちゃんなら、俺なんかよりふさわしい相手がいくらでもいるんじゃないか、と思って」
「そんなことないよ。私は、マコちゃんが好きだよ」
誠は、愛しさと悲しさがカフェラッテのように入り混じった気持ちで、
「ありがとう……」
小さく、答えた。
やがて銀と緑のローカル線が、2人の目の前で停止する。
「あれ?」
心は、思わず目をくぎ付けにした。
まだスーツ姿の人が絶えない時間帯。
その中で誠が、唯と腕を組んで、原巳浜駅に到着した電車に入ろうとしていた。
唯の方も、誠にしなだれかかる形になっている。
「誠君……!」
急いで心は、ありったけの小遣いを使うと、唯と誠を追う形で駆け込み、電車に乗り込んだ。
その直後に、しゃあっと電車のドアが閉まる。
七海一派に取り囲まれ、踏みつけられる言葉。
携帯を取る暇もない。
「どうする、七海さんの言うように、伊藤から手を引くか?」
頭を抱えて踏みつけキックに耐えながらも、言葉は、
「あきらめません! 誠君の彼女は、私ですから!!」
言葉は譲ろうとしない。
「まだ刃向かうのかい。もうちょっと痛い目に合う必要があるな!」
寄ってたかって蹴りつける七海一派。
その時、第3者の声がした。
「待てっ!」「待ちなさい!!」
皆、そちらを向く。
そこにいたのは澪と澪ファンクラブ会長の曽我部、そして、ファンクラブのメンツが4,5人。
思わずあっけにとられた。
「やめなよ、もういいだろう!!」
ずいっと進み出て大声を上げる澪。
「なにがあったかわからないけれど、こんな真似、やめてもらえる?」
曽我部もずいっと、一緒に出る。
「ちっ、あんたも抜け出して来たのか」
「ああ」澪はちらりと曽我部のほうを見て、「この人たちのおかげだけどな……。曽我部さん、またお願いできないか?」
「アイアイサー」
澪をガードするのと同じように、曽我部を含めたファンクラブの皆は七海一派に飛びかかる。
それを見届け、澪はがら空きになった言葉に近づいた。
言葉もまた、土埃だらけで、腰までかかる髪も少々乱れている。
どうやら、下着も脱がせられそうになったら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ